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漆拾陸) 峠 ページ10

〜翌朝〜

屯所に朝が来た

まだ早い時間ではあったが
部屋には近藤、土方、幹部が揃っていた

それぞれにAと千鶴が茶を出す

普段は明るい声が飛び交うが、
今は通夜のように暗く重い空気が流れていた



ススッ



その時部屋の戸が開かれる



沖田「山南さん、峠は超えたみたいだよ」



そう言って沖田と井上が部屋に入ってきた



井上「今はまだ寝ている 静かなものだ」



報告を聞いた幹部達は互いに顔を見合わせて喜んだ



A「良かったほんとに」



永倉「じゃあ山南さん、成功したのか!!」



井上「確かなことは目が覚めるまで分からんな」

井上「見た目には昨日までとは変わらないんだが...」



沖田「羅刹から元に戻るのは早かったと思うよ」



近藤「そうか...」



A(やっぱりあの時、少し人間に戻ってたんだ)

A(私の血を飲んだ以外に誘引は思いつかない)

A「だとしたら私の血は...」ボソッ



ススッ



伊東「おはようございます」



部屋に現れたのは伊東だった



全員「げっ...」



沖田「ゲホッゲホッ」

原田「大丈夫か、総司」

沖田「うん、空気が淀んだからつい...」

A(ほんとに総司もよくやるよ...)

A(でも...)



伊東「あら、こんな爽やかな朝なのに皆さんの顔色が優れませんのは昨晩の騒ぎと関係があるんじゃありません??」



近藤「あぁ、いやそれは...」



永倉「おいっ誤魔化せよ左之」

原田「えっ、俺が?!」

沖田「はいはい、そういうのは説明上手な人に任せましょうね」



そう言うと沖田は斎藤とAに視線を向けた



A(えっ!?!? 私?!)



ツンツン



Aは隣に座る斎藤の袖を引っ張る



A「ちょっと一くん、なんか総司達が私達のこと見てるんだけど...」ボソッ

A「.....よろしくねっ」ニコッ



沖田「あ、一くんに押し付けた」

原田「見てみろよAの顔」

永倉「ありゃほんとに嫌そうだな」



三人に向かって膝の上で指を交差させながら
苦虫を噛み潰したような顔をするA

それを見た三人は吹き出しそうになるのを堪えながら
ことの成り行きを見守った

斎藤はAへ一瞬チラリと視線を向けたあと、
静かに立ち上がった



斎藤「伊東参謀お察しの通り、昨晩屯所内にて事件が発生しました」

斎藤「しかし、状況は未だ芳しくなく」



伊東「まぁ、それは大変ですこと」



斎藤「参謀のお心に負荷をかけてしまう結果は我々も望むことではありません」

漆拾漆) 風邪→←漆拾伍) 大丈夫



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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月21日 13時

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