玖拾玖) 鈍感・弐 ページ39
〜沖田side〜
A「一くんってやっぱり優しいよね」
そう言って君は一くんの顔を覗き込みながら笑った
一くんは満更でも無い様子で顔を赤くする
こないだの休みの時といい、一くんと距離近すぎない??
ガシッ
僕はAちゃんの肩を掴んで一くんから離す
「近いよ」
自分でも驚くくらいに不機嫌な声を出していた
Aちゃんは一瞬ビクッとした後、振り返って僕を見る
A「え、そう??」
A「普通じゃない??」
振り返った君はキョトンとした顔で首を傾げた
新選組に慣れてきて壁を感じなくなったけど、
そのぶん 人との距離が凄く近くなった
千鶴ちゃんにはすぐに抱きつくし
近藤さんの膝の上に座ったり
左之さんのことをお兄ちゃんみたいなんて言って
よく一緒にいるし...
てあれ??
僕は特になんにもない...??
それはそれで嫌だな
斎藤「総司、お前は過剰に反応しすぎだ」
「なっ!!」
図星だった
Aちゃんのことになると自分じゃないみたいになる
それはAちゃんが此処に来た時からずっと
「一くんこそ顔赤すぎなんじゃない??」
僕は誤魔化そうと必死に言い返した
斎藤「そ、それはだな...」
相手が一くんでよかった
相手が左之さんとかだったら、
きっと君のこと口説いてただろうし...
A「はぁ」
僕と一くんが言い争っていると
Aはため息をついた
そしてそのまま僕の袖の裾を引っ張る
A「総司さ、」
急に真剣な表情になってドキッとする
くだらないことで言い争って幼稚だとか思われたかな...
そんなことを考えていると、
君は僕に顔を近づける
群青色の瞳が僕の顔のすぐ近くにあった
「っ!!!」
鼓動が速くなる
突然すぎる出来事に僕は目を見開いて固まった
そんな僕を他所に、君の口は僕の耳元に近づく
A「総司も優しいと思うよ」
君はボソリと耳打ちをした
「そう」
動揺しているのがバレないように笑顔を貼り付ける
「でも僕の小姓なのに一くんばかり褒めるなんて君は僕よりも一くんの方がお気に入りみたいだね」
その言葉は、僕の口からぶっきらぼうに放たれた
いかにも"僕よりも一くんがいいんでしょ"
と言っているようなものだ
せっかく笑顔で誤魔化しても
こんなことを言ったら意味ないよね
あぁ何やってるんだろ僕は...
だけど、君はなんて答えるんだろう
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月21日 13時