玖拾漆) 誤魔化し ページ35
A「千鶴!!」
まずい
きっと今の独り言を聞かれてしまった
雪村「Aちゃん、今死ぬって言ったの...??」
あぁ、はっきりと聞かれてしまっている
夢といっては現実的すぎる内容だったが、
"死ぬ"というその確証が何も無い
A「え??なんのこと??」
雪村「今確かに死ぬって...」
A「あぁ、違うよ!!」
A「死ぬほど寝たなぁって言ったの」ハハッ
私はそう言って笑いながら千鶴の肩に手を置いて誤魔化した
これでいい
きっと今はまだ言う時じゃない
白鈴にお母様の所まで連れて行ってもらってから...
雪村「なんだ...びっくりしちゃった...」
千鶴は本当に驚いたようで
足元に割れている陶器に目もくれず私へ抱きついた
A「千鶴、足元危ないよ」
雪村「っ!!」
私の一言でやっと我に返る
次第に別の意味で顔が青ざめ始めた
そして割れた陶器の破片を集めはじめた
A「まったく、千鶴は心配性すぎるよ」
千鶴に続いて私もしゃがみ込むと欠片を集める
雪村「Aちゃんはすごく強いけど、その分無理をしすぎだよ」
珍しく少し怒ったような口調で千鶴は言った
A「確かに、無茶してるかも」ハハッ
A「でも、私は仲間を護って死ぬなら悪くないなとも思うよ」
雪村「Aちゃん!!」
千鶴は破片を拾う手を止めて私を見る
その表情は怒りと悲しみが入り交じった表情だった
A「そんな顔しないで」
A「私の意思で何かを守ろうと思ったことはこれが初めてなの」
A「国に居た頃は、お母様とお父様を敵から護るっていう義務があったから、暗殺もしたし色んな所に潜入もした」
雪村「お姫様なのにそういうことするの!?」
A「確かにそう思うよね」ハハハ
A「でも、国の最高位を護るくらいに強くないと次の王にはなれないっていう...いわば暗黙の決まり事みたいな感じかな」
A「それに外部の者を雇うよりも、実際に自分達の間に生まれた子供の方が"色んな意味"で扱いやすいでしょ??」
雪村「...確かに」
千鶴は納得出来たようなできないような微妙な表情で頷いた
A「全部わかってくれなんて思ってないから全部を肯定しなくてもいいんだよ」
雪村「...私は、Aちゃんには死んで欲しくないよ」
その言葉がグサリと刺さる
A「...大丈夫だよ!!」
A「私は死んでも死なないから!!」ニカッ
誤魔化すように私は笑った
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月21日 13時