月龍鬼の少女は月に願う〈第一章ノ参〉〜薄桜鬼〜 (ページ31)

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玖拾伍) 有明ページ31

A｢待ってよ!!｣

Aは慌てて縁側から飛び降りると、黒蓮の元に向かう

白鈴｢お姉ちゃん...ごめんね｣

白鈴｢もう少し待ってて｣

そう言って白鈴の手はAの首元に叩く

A｢っ....｣

意識が遠くなる

倒れかけたAの身体を黒蓮が支えた

黒蓮｢....ごめん｣ﾎﾞｿｯ

黒蓮｢ねぇ、誰かAをよろしく｣

黒蓮の言葉に千鶴は一目散にAのそばに駆け寄った

雪村｢Aちゃん...!!｣

千鶴の腕の中で瞳を閉じるAは静かに呼吸をしている

原田｢...お前は何がしたいんだ??｣

原田｢前はAを傷つけて、今は何もしないで妹を連れて帰るんだろ｣

沖田｢なんにせよ、僕はこいつを斬りたくてたまらないよ｣

黒蓮｢今は時間が無いんだ｣

黒蓮｢母上にバレれば消される｣

白鈴｢...お兄さん達、またね｣

黒蓮は白鈴を抱きかかえると
倒れ込むようにして池に飛び込んだ

二人が飛び込んだ時、水面が光り輝く

全員｢...!!!｣

その様子に、皆が池へと駆け寄った

二人が飛び込んだにもかかわらず
水面は音を立てずに波紋だけが広がる

間もなくして光も消えた

池には、いつものようにただ水が溜まっているだけであった

土方｢くそっ、ったく何がしてぇんだあいつは｣

藤堂｢それにしても、初めて会った時と比べたら別人みたいだったよな｣

原田｢あぁ、それに血だらけだったのも気になる｣

原田｢普通、あそこまで傷だらけの状態で妹を迎えに来るか??｣

斎藤｢もしかしたら、礼龍寺の妹が言っていた"いつもと違う時"なのかもしれないな｣

山南｢"もう少し待って欲しい"と言っていたことから考えて再び屯所を訪れる可能性が高いですね｣

永倉｢妹がいる時は、あいつもAちゃんに手出しはしないみたいだしな｣

土方｢とにかく、いつあいつが襲ってくるか分からねぇ｣

土方｢Aの周りには必ず誰か付くようにした方が良さそうだな｣

近藤｢そうだな｣

藤堂｢そしたら部屋替えた方がいいんじゃないか??｣

藤堂｢千鶴だけだと心配だしよ｣

原田｢確かにな｣

永倉｢屯所が広くなったから二人は部屋を別にしても余裕があるし、その方がいいかもしれねぇな｣

原田｢どうだ?? 土方さん｣

土方｢そうだな｣

土方｢とりあえずAを部屋まで送ってくれ｣

土方｢部屋は明日変える｣

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いつの間にか外は明るくなり始めている

空には有明の月が浮かんでいた