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玖拾弐) 真実 ページ28

広間は静寂に包まれた




A「でも...」



静寂を破ったのはAだった



A「私も余裕がなくて、目先のことしか見えてなかったけど ...確かに黒蓮は変わった」

A「それにここに来て初めて襲われた時、あんなに慕ってたお母様を"死んだ翡翠妃"って言ってた」

A「黒蓮はお母様をそんな呼び方したことないのに」



雪村「それって....」

土方「別のそいつがいるってことか??」

原田「そんなこと有り得るのかよ!?」



A「分からない」

A「けど、白鈴の言った通り納得できない部分も多い」



白鈴「お姉ちゃん」



白鈴が改まった様子でAに向き直った



A「??」



白鈴「お母さんは生きてるよ」



A「え??」



頭を金槌で殴られたような衝撃を受ける



A「お母様が...生きてる...??」



頭が真っ白になった



A「だって私は...」



そう言って気がつく



A(あれ、そういえばお母様の亡骸を見てない)

A(あの時銅明が言ってたことって...)



Aは初めてこの地に来た時のことを思い出す




銅明「お前は、母親が殺された理由が本当に毒だと思うか??」

銅明「お前は大きな勘違いをしているな」




銅明が言った言葉が脳内に谺する



白鈴「見てないでしょ??」



A「でも確かにお母様は死んだって」



口が乾き、掠れる声でAは言った



白鈴「お母さんは今.....」



白鈴の表情は曇る

そしてゆっくりと口を開いた



白鈴「"暗黒の間"にいる」



ヒュッ



喉がなる

Aのは絶望した様子で目を見開く

見開かれた瞳からは筋を引きながら涙が溢れ出す



A「そ、そんなっ...!!!!」

A「あぁ」



Aは床に額をつける



雪村「Aちゃん...」



うずくまって涙を流すAの背中を千鶴は優しく撫でた



斎藤「暗黒の間とは一体...」



白鈴「暗黒の間は、一尺位の分厚い扉のある部屋だよ」

白鈴「そこは光が一切入らない淀んだ空間」

白鈴「月ノ宮では、禁区になってる場所だよ」



原田「それは淀んでるからか??」



白鈴「そう」

白鈴「月ノ宮の血が流れる者は淀みの影響をすごく受けやすいの」

白鈴「だからそんな所に入ったら...」



沖田「入ったら??」



白鈴「淀みに力が奪われ続ける」

白鈴「永遠に」



"永遠"

この言葉を聞けば誰でも予想できるだろう

死ねずに力を奪われ続ける

それは"生き地獄"を意味するということを

玖拾参) 月読→←玖拾壱) 義兄



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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月21日 13時

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