玖拾壱) 義兄 ページ27
土方｢黒蓮って....｣
白鈴の言葉に土方は目を見開いた
沖田｢もしかして、池田屋の時にAちゃんを傷付けた奴??｣
原田｢あぁ｣
雪村｢あの人が白鈴さんのお兄さん...｣
沖田は殺気立ち今にも刀を抜きそうな勢いである
A｢大丈夫だから｣
そう言って刀に手を伸ばしかけた沖田の手を止めた
白鈴｢お兄ちゃんがどうかしたの...??｣
黒蓮の名前を聞いた幹部達の様子を見て
不思議そうに首を傾げた
沖田｢そいつはね、Aちゃんから力を奪った挙句君たちの持つ力でAちゃんを傷付けたんだよ｣
原田｢あの時は本当に肝が冷えたぜ｣
雪村｢はい...本当に｣
泣きそうになった千鶴を見て白鈴は困惑したようだった
白鈴｢お兄ちゃんが...??｣
白鈴｢お姉ちゃん本当??｣
信じられないといった表情でAを見る
A｢本当だよ｣
白鈴｢うそ...｣
白鈴｢昔はそんな人じゃなかったのに...｣
藤堂｢昔はってどういうことだ??｣
白鈴｢お兄ちゃんとお姉ちゃんとは小さい頃からずっと一緒だった｣
白鈴｢お姉ちゃんは私が生まれてからずっと気にかけてくれてたんだ｣
白鈴｢それで私がようやく一人で歩けるようになった頃、お姉ちゃんと遊んでる時にお兄ちゃんが木の影から私達のことを見ているのに気がついてお姉ちゃんが声をかけに行ったの｣
白鈴｢でもお兄ちゃんは何も言わないで何処かに言っちゃって....｣
白鈴｢そんなことが何回か続いたあと、ようやくお兄ちゃんと遊べるようになったの｣
白鈴｢それからは三人でいることが増えたんだ｣
白鈴｢ね??お姉ちゃん｣
A｢そうだね...懐かしい｣
白鈴｢でも確かにここ数年、お兄ちゃんの様子はおかしかったかもね｣
白鈴｢昔とは別人みたい...王様になることを望んだり、力を今よりももっと欲しがったり...｣
沖田｢本性が出てきたんじゃないの??｣
白鈴｢違うよ!! お兄ちゃんは...すっごく優しいんだから!!｣
そう言って沖田に顔を向けた白鈴の目には涙が浮かぶ
涙は白鈴の大きな瞳から今にも溢れだしそうだった
白鈴｢でもそれはずっとじゃない｣
白鈴｢昔みたいに凄く優しい時もあるもん｣
白鈴｢ただその時はすごく疲れてるみたいだった｣
近藤｢そうか....｣
土方｢だがな、俺たちの仲間に手を出したんだ｣
土方｢敵とみなす他ないだろう｣
白鈴｢そう....ですよね｣
そう言い 白鈴は膝の上で拳を握りしめると俯いた
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作者名：雪姫華-yukika- | 作成日時：2024年2月21日 13時
