参拾捌) 池田屋事件・終 ページ10
チュンチュン
朝日が登り始めていた
周囲が明るく照らされると、事の悲惨さが分かる
至る所に血飛沫が飛んでいた
池田屋にいた尊皇攘夷の過激派組織二十数名の内、
新選組は七名を討ち取り、四名に手傷を負わせた
数に勝る相手の懐へ突入した事を思えば、
新選組は目覚しい成果を収めたと言える
しかし、その新選組の被害も小さくなかった
戦死、重症の隊士に加え、
幹部である藤堂と沖田も深手を追った
そして黒蓮の登場により、Aもまた深手を追った
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藤堂は先に運び出され、
部屋には沖田とA、千鶴が残っていた
Aは眉間に皺を寄せ瞳を閉じている
A「守れなかった」ボソッ
そう呟くAの頬に涙が伝う
雪村「Aちゃん...」
雪村(私のせいでこんな深手を..)
雪村「沖田さんも、どうして私を守ってくれたんですか」
雪村「邪魔になったら殺すって...」
沖田「そういえばなんでだろう..」
沖田「でもきっと、Aちゃんと同じ気持ちかな」
千鶴の問いかけに答えると、
沖田は再び苦しそうな表情で目を閉じた
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新選組は誠の旗を掲げ
朝日に照らされながら
屯所へと向かう
その姿は
人々の目に焼き付いたことだろう
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元治元年 6月 の出来事である
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時