陸拾陸) 鏡 ページ49
A「じゃあ、少し付き合って欲しいんだけど...」
斎藤はAの提案に一瞬驚いた様子を見せたが、
直ぐにいつもの様子に戻った
斎藤「分かった 次の休みは空けておこう」
A「ありがとう!!」
ぺこりと頭を下げたAに斎藤は薄らと笑みを浮かべ、
自室へと去って行った
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A「そろそろ私も部屋に戻ろうかな」
Aが部屋へ戻る頃には日は完全に沈み、月が昇っていた
スッ
A「あっ、千鶴はまだ戻ってないのか」
そう言い、部屋の隅から座布団を引っ張ってくると
机の側へ置いた
A「千鶴が戻ってくるまで、この続きでも読もうかな」
Aが手にしたのは読み込まれた本である
それは以前土方から譲り受けたものだった
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A「ふぅ、意外と頭使うから疲れるんだよねこの本」
Aは本から目を離し、天井へと目を向けた
暫く文字を見ていたせいか視界がぼやける
A「今日はこの辺りにしておこうかな」
そう言って本を閉じた時、
??「お姉ちゃん」
A「!?!?」
突然の声に短剣を構えた
A(あれ、前にもこんなことが...)
??「お姉ちゃん、こっち」
A「誰?? どこにいるの??」
??「鏡を見て」
A「鏡...??」
Aは謎の声に言われるまま鏡に近づく
鏡は水面のように揺れ始めた
そして、ある少女を映し出す
A「...!!」
Aは目を見開く
ポタッ
瞳からは涙が溢れていた
A「鈴(リン)...??」
鈴と呼ばれる少女はAへ微笑みかける
鈴「そうだよお姉ちゃん」
そう言って少女も涙を光らせた
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A「鈴、どういうこと??」
A「どうなっているの」
鈴「水に力を注いでそっちの世界と繋げてるの」
鈴「制限はあるし、バレたらまずいけど」
A「なるほど」
Aはそう言ってからハッとしたように口を開いた
A「月は今どうなってるの」
Aの発言に、鈴は表情を曇らせた
鈴「月ノ国は今、星樺妃が牛耳ってる」
A「...お父様は??」
鈴「それがこの間、襲撃を受けて...」
A「死んだの??」
鈴は涙を浮かべて頷いた
鈴「でもあのお父様がそれで死ぬわけない!! 絶対に星樺妃の仕業だよ!!」
A「お母様だけじゃなくて、お父様も...」
鈴「あっ、あのね...」
そう言って鈴が口を開きかけた時だった....
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時