陸拾肆) 冗談 ページ47
山南「秀でた参謀の加入で、ついに総長はお役御免という訳です」
部屋の戸を締めながら静かに呟く
去っていく山南の背中を千鶴は悲しげに見つめていた
・
・
・
伊東「私はこれで失礼します」
近藤「では私も戻ることにする」
そう言って伊東と近藤が去った後、
部屋の空気はさらに重くなった
A「土方さん、ごめんなさい」
A「私の堪忍袋の緒は短いみたい」
土方「いや、俺が先に声を荒らげたんだ」
土方「Aを責める資格はねぇよ」
沖田「僕は正直スカッとしましたけどね」
原田「だな、伊東さんのあの言葉は見過ごせねぇよ」
永倉「Aちゃんが言ってなかったら、俺が一発食らわせるところだったぜ」
斎藤「弁が立ちすぎるのも問題だな」
A「やっぱり気に入らないあの男」
ギリッ
Aは苦虫を噛み潰したような表情で歯ぎしりをした
ポンッ
その様子に原田はAの頭に手を置く
原田「そんな顔すんなよ」
A「うん....」
・
・
・
・
〜夕刻〜
空を夕日が照らし始めた頃、
昼間の騒動を見た者たちが集まっていた
原田「山南さんも可哀想だよな」
原田「最近は隊士達からも避けられてる」
雪村「避けられてる...??」
永倉「誰に対してもあの調子だからなぁ、隊士も怯えちまって近寄りたがらねぇんだ」
原田「昔はあぁじゃなかったんだけどな」
原田「親切で面倒見が良くて」
永倉「穏やかで優しくて....表面的には」
A「私は厳しい時の方が多かったけど〜」
原田達が話す背後から現れたのはAだった
原田「お前、どこ行ってたんだよ」
A「あの未確認物体に捕まってたんだよ」
A「昼間のことを根に持ってるのかは知らないけど、ベラベラとよく動く口だよほんとに....」
A「まだ山南さんに怒られてた方がマシ」
Aは肩を落としながらため息をついた
永倉「確かにAちゃんはよく怒られてたもんなぁ」 ハハッ
永倉「普段は優しいんだけどな」
原田「でも、腹の中は真っ黒で」
永倉「そうそう、真っ黒」
そう言うと原田と永倉は笑っていた
しかし笑っていてもどこか寂しげな雰囲気がある
沖田「冗談でも言わないとやりきれませんよね...」
沖田は沈んだ様子で口を開く
その場にいる原田、永倉、斎藤、沖田、土方は
Aと千鶴よりも遥かに多くの時間を共にしてきた
昼間のことも踏まえ、皆落ち込むのは当たり前だった
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時