伍拾捌) 接触・弐 ページ41
雪村｢...｣
A｢...｣
千鶴は動揺して言葉に詰まり、
Aは擁護しようにもこの場での適切な言葉が浮かばない
伊東｢隊士では無いですよね｣
ｼﾞﾘｯ...
伊東が二人に近づく
それに思わず二人は退いた
Aはジワリと汗をかく
A(これはまずいのでは...誰か...)
その時、
部屋の戸が勢い良く開くと同時に刀が空を斬る音がした
A/千鶴｢!?!?｣
そこには沖田が居た
A(総司...!!)
雪村｢沖田さん!?｣
沖田の刀の先には花が乗っていた
あの一瞬で伊東を威嚇しつつも花を切り取ったのだ
沖田｢男所帯で華が無いものでね｣
沖田｢折角、伊東さん達がいらしてるんだしせめて目の保養にと｣
そう言うと沖田は刀の先を伊東へ向ける
伊東は向けられた刀に乗っている花を手に取った
伊東｢まぁ、綺麗｣
伊東｢でも刀で切るなんて随分荒っぽいんですわね｣
沖田｢少々荒っぽい所が天然理心流の流儀なんです｣
沖田は刀を鞘へ収めるとAと千鶴に視線を向けた
沖田｢君達、まだ後片付けが残ってるんだろ??｣
沖田｢早く戻りな｣
A｢はい、失礼致します｣
A｢行きましょう雪村さん｣
雪村｢はい...!!｣
Aは沖田に向かってお辞儀をした後、
千鶴と共に勝手場へと戻って行った
それを見届けると
｢お花、ありがとうございました沖田さん｣
と言って、伊東もその場を後にした
・
・
・
〜勝手場〜
A｢千鶴、ごめん!!｣
勝手場に戻るや否やAは手を合わせて勢いよく頭を下げた
雪村｢えぇ!? 何が??｣
A｢あいつに言われた時、上手く庇えなかったでしょ｣
雪村｢そんな!! 私が言うべき所を黙ってたんだから、Aちゃんは悪くないよ!!｣
A｢千鶴〜｣ｳﾙｳﾙ
そう言うとAは千鶴を抱きしめて頬を擦り付ける
A｢千鶴の為だったら命なんて軽いもんだね｣
A｢あぁ、私の千鶴〜｣
雪村｢Aちゃん...｣ﾊﾊﾊｯ...
・
・
・
A｢にしてもさ、あいつ初日から何なの｣
A｢人には人の事情ってもんがあるでしょ!?｣
Aは
｢あー、腹立つ｣
と言いながら再び燗を洗い始めた
雪村｢私もちょっと苦手かも...｣
そう言って千鶴は苦笑いをする
A｢ちょっとどころじゃないよ｣
A｢見透かしたようなのも腹立つし、全部が腹立つ!!!!｣
Aの伊東への怒りがおさまるまでは
まだ暫くかかりそうであった
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作者名：雪姫華-yukika- | 作成日時：2024年2月6日 15時
