月龍鬼の少女は月に願う〈第一章ノ弐〉〜薄桜鬼〜 (ページ35)

今日:41 hit、昨日:62 hit、合計:3,891 hit

伍拾参) 隊士募集ページ35

元治元年八月
京の町がどんどん焼けになった日から約１ヶ月が経った

蝉の鳴き声は更に勢いを増し、
人々を照りつける日差しも強くなっていた

・

・

・

藤堂｢じゃあ、伊東さんを新選組に...｣

藤堂、土方、近藤、山南の四人は

腕の立つ剣客であり、優れた論客であることから
"伊東を新選組へ招き入れるか否か"
について意見を交わしていた

伊東は剣客論客共に優れているが、
水戸の流れを汲む尊王派であることに山南は難色を示す

しかし、近藤は

｢義を持って話をすれば必ずや力を貸してくれるに違いない｣

と言うと藤堂を新選組と伊東の橋渡しを託した

・

・

・

〜数日後〜

千鶴とAは中庭で洗濯をしていた

A｢どうよ千鶴、私洗濯上手くなったでしょ〜｣

雪村｢うん!! 二人でやると仕事も効率良く回せるしね｣ﾆｺｯ

Aは対人戦などの実力があることから、
幹部と共に巡察へ同行することが多くなっていたが
千鶴と分担して行う家事もそつ無くこなせるようになっていた

藤堂｢よう千鶴!! A!!｣

千鶴｢平助くん｣

A｢平助、どっか行くの??｣

藤堂｢千鶴、お前の江戸の家を教えてくれない??｣

千鶴｢??｣

A｢江戸に行くの??｣

藤堂｢そう、隊士募集でな!!｣

千鶴/A｢隊士募集...??｣

藤堂｢おう!!｣

藤堂｢このところの俺達の働きが認められて、新選組の警護地が広がっちゃってさ｣

千鶴｢そうなんだ!! すごい｣

A｢じゃあ皆忙しくなるね｣

A｢大変そう〜｣

藤堂｢何言ってんだよA、お前も駆り出されるぞ｣

藤堂の発言に
｢うげっ...｣
と言いながら嫌そうな顔をするA

千鶴はそれを見てクスッと笑うと
｢じゃあちょっと待ってて｣
と言って、家の住所を書きに部屋へと向かった

・

・

千鶴｢近所まで行ったら、蘭方医の雪村って聞いてもらえればきっと皆分かるはずだから｣

藤堂｢分かった｣

千鶴｢それじゃあ、よろしくお願いします｣

そう言うと千鶴はぺこりと頭を下げた

藤堂｢うんじゃあ、行ってくる!!｣

A｢行ってらっしゃい｣

千鶴｢気をつけてね!!｣

藤堂｢おう!!｣

藤堂は千鶴とAに応えるように
手をヒラヒラと振りながらその場を後にした

・

・

・

A｢今よりも駆り出されるのか....｣

｢こりゃ大変だ｣
と言わんばかりの表情をするAであった