伍拾弐) 寝床・弐 ページ34
沖田(もう、しょうがないなぁ)
沖田「Aちゃん!!」コソッ
部屋に入り、Aの肩に手を置いた
そして、押し入れの中に目を向ける
押し入れの中は大惨事であった
Aは沖田の置いた手にビクッとすると振り返る
そしてゆっくりと顔を上げた
A「総司....布団が出せないよぉ....」
そう言って涙をうかべるA
今にも泣き出してしまいそうである
疲労と眠気で思い通りに動けないことに対して、
幼子のような様子を見せていた
沖田「っ!!!!」
A「うっ....うっ....」
沖田「待って泣かないで!! 千鶴ちゃん起きちゃうから!!」
沖田は泣かないよう必死に説得するが、
今のAには全く通じなかった
A「ううっ....」
次第に声が大きくなるA
沖田「分かった、僕の布団で寝ていいから!!」
A「...本当に?? .....ありがと」
沖田「いいよ」ハァ
沖田の言葉にようやく落ち着いたようである
沖田「じゃあとりあえず押し入れ閉めて」
Aは言われた通りに静かに戸を閉めた
沖田「ほら、行くよ」
A「うん...」
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〜沖田の部屋〜
沖田「布団は敷いてあるから、先に寝てていいよ」
A「ありがと」
Aは
「じゃあ、遠慮なく」
と言うと沖田の布団へと入った
A「おやすみ、総司」
沖田「...おやすみ」
・
・
・
〜沖田side〜
沖田はAが布団に入るのを見届けてから
再び縁側へと腰を下ろした
Aちゃんが涙目で振り返った時、
正直ドキッとした
あの時だけは部屋が暗くてよかった
でも僕の部屋に来たらすぐ寝ちゃうし
男に対しての警戒心無さすぎじゃない??
僕にだけ??
沖田は
「それはなんか嫌だなぁ」
と不満げにこぼしながらも再び月へと目を向けた
・
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明るくなってきた
空には有明の月があり、
まだ夜が明けきっていないことを知らせている
沖田は縁側に腰かけながら うつらうつらとしていた
斎藤「...総司??」
沖田「あ、一君おはよ」
斎藤「あぁ、ところで何している」
沖田「誰かさんに布団取られちゃってさぁ」
沖田は自室で眠るAに目線をやる
斎藤「なぜ、礼龍寺がここに」
沖田「昨日の夜にちょっと色々あってね」
斎藤「...そうか」
斎藤はそれだけ言うと
「湯浴みをする」
と言って去っていった
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その日の朝、
「ちょっと総司!! どういうこと!?」
Aの声が屯所中に響き渡った
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時