月龍鬼の少女は月に願う〈第一章ノ弐〉〜薄桜鬼〜 (ページ31)

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伍拾) 微風ページ31

屯所に戻ってきた

日が沈み、辺りはすっかり暗くなっている

Aは縁側に腰を下ろしていた

〜Aside〜

(千鶴、大丈夫かなぁ)

"強い力は仲間を傷つけることもある"

"仲間を護る刀で仲間を傷つけてはいけない"

当たり前のことだけど、私はそれを出来ていなかった

「馬鹿だな、私」

千鶴は私が護るってあんだけ自信満々に言ってたのに

Aは後悔を表情に滲ませながら俯いた

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雪村「Aちゃん」

Aが声のした方へ顔を上げると千鶴が立っていた

A「千鶴??」

雪村「隣、いいかな」

A「もちろんだよ」

千鶴は
「ありがとう」
と言うとAの横へ腰掛けた

A「千鶴、今日はごめんね」

雪村「そんなに謝らないで」

雪村「私、本当に大丈夫だから」

千鶴はAの手を握りしめ微笑んだ

雪村「人は、失敗を繰り返しながら成長する」

雪村「Aちゃんは隊士の方と沖田さんのために怒ったんでしょ??」

雪村「仲間のために、あそこまで戦えるAちゃんはすごくかっこいいと思う!!」

雪村「だから、あまり自分を責めないで」

A「千鶴....ありがとう」

千鶴の言葉にAは涙を浮かべ微笑む

A「皆を護る剣になれるように、頑張らなくちゃね!!」

雪村「うん!!」

笑い合う二人の頬を微風が撫でた

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土方「俺が出る幕はなさそうだな」ﾎﾞｿｯ

土方は影からAの様子を伺っていた

「少し言いすぎたかもしれない」
と気にしていた土方だったが、

千鶴と話すAの様子を見て
安堵したように呟いた

土方「俺は鬼の副長だからな」

そう言って頬に笑みを浮かべると静かに自室へと去っていった

A「??」

雪村「Aちゃんどうかした??」

A「なんでもないよ!!」

A(誰かいたような気が...)
A(気のせいか)

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A「千鶴はもう寝る??」

雪村「うん、今日は疲れたから...」

Aと千鶴は縁側から部屋へと移動していた

千鶴は眠そうに目を擦っている

A「そうだよね」

A「私は、寝る前に湯浴みしてくるよ」

雪村「うん、行ってらっしゃい!!」

雪村「私、先に寝るねおやすみなさい」

A「おやすみ千鶴」

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A「よしっと」

Aは湯浴みの準備を整えると
ゆっくりと立ち上がる

ｽｯ

Aは千鶴を起こさないよう、障子を静かに閉めた