肆拾玖) 禁門の変・終 ページ30
A「千鶴っ....ごめん、ごめんね」
A「護って言いながら傷つけるなんて...」
Aは千鶴を抱きしめながら謝った
A「傷がすぐに塞がるとしても、痛いものは痛いのに...」
雪村「っ....!!」
Aが千鶴の耳元で呟いた言葉を聞き、千鶴は目を見開く
雪村(Aちゃん、その事を知って....)
土方「千鶴、大丈夫か??」
千鶴「はい」
土方「A、お前はもう少し冷静になれ」
土方「強い力は仲間を危険にさらすこともある」
土方「だから、お前は人一倍気をつけなきゃならねぇんだ」
A「はい....」
土方「もし、飛んだ刀が急所に刺さったらどうなる」
土方「もっと責任を持って行動しろ」
雪村「土方さん、Aちゃんをそんなに責めないで下さい」
雪村「Aちゃんは、斬られた隊士の方や侮辱された沖田さんを思って怒ったんです」
土方「だがな、仲間に怪我をさせたら元も子もない」
土方「いいかA、仲間を守る刀で仲間を傷付けちゃならねぇ」
土方「それを肝に銘じておけ」
Aは土方の言葉に強く頷いた
A(もっと強くならなきゃ)
A(身体だけじゃなく、精神も)
Aはこの日、固い決意を心に刻んだのだった
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日が沈みかけ、辺りが橙色に染め上げられる
Aたちは永倉率いる隊士達と合流すべく坂を登っていた
永倉「土方さん!!」
正面から永倉達が走ってくる
永倉「上に行ったら、長州の奴ら残らず切腹して果ててたぜ」
A/千鶴「!!」
土方「自決か、敵ながら見事な死に様だな」
雪村「いいんですか??」
A「腹を斬るって言うことは、余程の覚悟が無いとできないよ」
土方「あぁ、新選組にとっちゃ良くねぇことだが、潔さを潔しと肯定するのには敵も味方もねぇってことだ」
土方「分かるか??」
雪村「はい...分かるような 分からないような」
隊士「...街が燃えてるぞ!!!!」
隊士の声に全員が京の町へと目を向ける
そこには燃え盛る炎に照らされる街があった
土方や永倉その他隊士達は苦りきった表情で
黒煙をあげる京の町を見つめていた
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御所に討ち入った長州の過激派浪士の指導者達は
戦死又は息絶えた
しかし、逃げ延びた者達により火がつけられ
京の町は火の海となった
民家 二万七千五百十一戸
土蔵 千二百七棟
寺社二百五十三
が焼失した
祇園会の山鉾も二十三基中、二十二基が失われたのだった
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時