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肆拾玖) 禁門の変・壱 ページ25

斎藤「随分と遅かったな」



A「確かにちょっと時間かかっちゃったかも」

A「あ、土方さんに声掛けてこないと」



井上「土方君、心配していたよ」



A「うん、ちょっと強引だったから」



井上の言葉に、Aは申し訳なさそうに苦笑した









A「土方さん?? いる??」



土方「!? Aか!?」



Aの声を聞いた土方は勢いよく振り返る



A「ごめん、少し遅くなっちゃった」



土方「はぁ、あまり心配かけるな」



そう言いながら土方は大きなため息をつく
しかし、ため息をつきながらもどこが安堵した様子であった



A「近藤さんは??」



土方「上と話している」

土方「お前は千鶴の傍にいろ、近藤さんには俺から話しておく」

土方「それと、話した件は後でしっかり聞かせてもらうからな」



Aは土方の言葉に
ゲッ
という表情をしたが、
(無理言って、行かせてもらったし)
と渋々頷き千鶴達の元へ戻った









夜が空け始めた

空は曙の色で薄らと染まっていた



ドカーーーーン



静かな夜明けに大砲の音が鳴り響く

全員がハッとしたように立ち上がった



ドカーーーーン



再び大砲の音が響き渡る

黒煙が立ち上がり、
その根元は炎で紅く照らされていた



斎藤「行くぞ」



新選組は黒煙が立ち上がる場所へ向かう

しかし、それを会津藩士が止めた



藩士「待たぬか新選組!!」

藩士「我々は待機を命じられているのだぞ!!」



A「お堅い頭だねぇ」

A「この状況で、よく"待機"なんて選択肢があるよ」



藩士「なんだと...!!」



土方「長州の奴らが攻め込んできたら、援軍に行くための待機だろうが!!」

土方「自分の仕事に一欠片でも誇りがあるなら、てめぇらも待機だと云々言わずに動きやがれ!!」



土方が吐き捨てる
それが合図であるかのように隊士達は再び走り出した











たどり着いた先は壊滅的であった

藩士たちは血を流し倒れており、殆どが息絶えていた

状況を確認すべく、斎藤と原田は情報収集へとまわる



斎藤「朝方、蛤御門へ押しかけた長州勢は会津と薩摩の多数の兵力によって退けられた模様です」



土方「フッ 薩摩が会津の手助けねぇ、世の中変われば変わるもんだな」








その後、

原田からは長州の残党が公家御門に残っていること

山崎からは御所襲撃を先導した者達が天王山に向かっている
ことが伝えられた

肆拾玖) 禁門の変・弐→←肆拾捌) 合流



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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時

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