肆拾肆) 出発 ページ20
A「じゃあ、土方さん後でね」
隊の後ろにいる土方に声をかける
声をかけられた土方は立ち止まり、Aを見据えた
土方「A、必ず俺たちの元に来い」
土方「いいな??」
それは"死ぬな"と言う意味だろう
土方の言葉にAは少し微笑むと
「もちろん」
と頷いた
A「ほら、早く行かないと置いていかれるよ」
土方「あぁ」
隊士達はすでに遠くにいた
土方をこれ以上引き止めてはいけないと
Aは土方の背中を押す
A「じゃあね」
二人は視線を合わせると
土方は先へ行く隊士達の元へ向かう
Aは土方の背中を暫く見つめた後、
自分も目的の場所へと急いだ
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〜沖田side〜
皆が解散したあと、僕も部屋に戻ろうとした
「あれ??」
少し前をAちゃんが歩いていた
険しい顔をしているAちゃんに声を掛けようとする
追いつこうと少し足を速めた
Aちゃんは角を曲がると足を止めた
「!!」
僕も思わず足を止める
Aちゃんが訪れた部屋は土方さんの部屋だったから
「珍しいな....土方さんの部屋なんて」
小言が多いからと
滅多に部屋へは足を運ばないのに
そんなことを思いながら、耳を澄ませる
A「その人が、敵か味方かを確認しに行く」
その言葉に僕の鼓動は早くなった
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A「じゃあ行ってくるね、山南さん二人をよろしくお願いします」
藤堂「俺はガキかよ!!」
沖田「君は僕の小姓なのになぁ」
結局、Aちゃんには聞けないまま出陣の日が来た
軽口を叩きながらも内心はもの凄く心配していた
A「じゃあね!!」
そう言って手を振るAちゃんに、
「行ってらっしゃい」
と手を振り返す
「絶対帰ってきてよ」ボソッ
呟いた僕の声は誰の耳にも届くことなく消えていった
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A(きっとあの子は味方に着いてくれるはず...)
Aが向かうのは、以前の政務の際に知った人物の元だった
争いを好まず人里から離れて暮らすその人物は
由緒正しき血筋であり、歴史が長く
きっと千鶴の存在も知っているだろうとAは考えていた
A「きっと大丈夫」
"敵対するかもしれない"という不安を拭いきれなかったが、
どうにかなると自分に言い聞かせるように呟いた
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時