月龍鬼の少女は月に願う〈第一章ノ弐〉〜薄桜鬼〜 (ページ15)

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肆拾壱) 褒美・千鶴編ページ15

その後幹部達は解散し
それぞれの部屋へと戻って行った

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千鶴も薬と共に出していた水の入った器を持ち
広間を後にする

土方｢おい｣

広間から数歩出たところで土方に呼び止められた

千鶴は土方の声に慌てて振り向いた

土方｢今日は原田の巡察に着いて行け｣

雪村｢え??｣

雪村｢でも今日は私巡察について行かない日ですけど...｣

土方｢黙って行け｣

それだけ言い残すと土方は去っていった

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京の町に鐘の音が鳴り響く

町は夕日によって橙色に染められていた

千鶴は土方に言われた通り原田の巡察に同行していた

雪村｢??｣

雪村｢あの原田さん、私達街の人達に避けられているような気がするんですけど...｣

原田｢あぁ、池田屋の一件ですっかり嫌われちまったからなぁ｣

雪村｢どうしてですか?! 新選組は街の治安を守るために戦ったのに...｣

千鶴は理解できない様子であった

??｢京の奴らは幕府嫌いの長州贔屓だからな｣

そう言って現れたのは永倉であった

永倉｢よう、千鶴ちゃん親父さんの事何か分かったか??｣

永倉の問いに千鶴は表情を暗くした

永倉はその様子に
｢今日が駄目でも明日がある｣
と励ました

千鶴は再び表情を明るくすると
｢はいっ｣
と元気よく頷いた

原田｢新八、何か異常あったか??｣

永倉｢いいや、表向きはな｣

永倉は意味ありげに言った

永倉｢長州の奴らが京に集まってきてるって噂が流れている｣

原田｢またきな臭くなって来やがったな｣

雪村(京は一体どうなってしまうのだろう)

千鶴は再び顔を曇らせた

原田｢悪いがお前ら先に行っててくれ、俺達はちょっと野暮用だ｣

永倉｢え??｣

原田の発言に永倉は困惑する

原田｢新八、おめぇも付き合え｣

原田｢じゃ行くか｣

原田は千鶴に向かってそう言うと歩き始めた

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少し歩き建物の間を抜ける

雪村｢わぁ!!｣

そこには光を放ちながら揺らめく提灯と
綺麗に掘られた装飾のある山鉾があった

原田｢今年の山鉾も見納めだな、大したもんだろう｣

綺麗な景色に見とれる千鶴

きっと土方はこれを目的に巡察に同行させたのだろう

最近の"千鶴の奮闘に褒美を"という
土方なりの気遣いであった

原田｢もっと近くで見てみるか｣

そう言って原田は千鶴の手を取る

続いて永倉も千鶴の手を取った

永倉｢それじゃ、行くか!!!!｣

そして、三人は光の中へ飛び込んで行った