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参拾玖) あの日・弐 ページ12

土方「とりあえず、当てられそうな布は持ってきた」

近藤「A君は...」



そう言って部屋へと入ってきた二人も

長倉と同じように目を見開いた



雪村「布をこちらに!!!!」

雪村「傷を確認します!! 皆さんは一度退室して下さい」



千鶴の声で二階へと上がってきた幹部達は廊下へと出る



雪村「失礼します」



千鶴はそう言うとAの袴を脱がせる

血を吸った袴は重く、
Aが如何に血を流したかが分かる



雪村「Aちゃん...」ウルッ

雪村「ううん、泣いちゃだめ」



そう言って涙を拭き、傷を確認する



雪村「え....??」



Aの傷口は塞がりかけていた



雪村「私と同じ...」ボソッ



傷口は完全には塞がっていなかったため、布を当て袴を直し
廊下にいる幹部達の元へ向かう



スッ



戸を開くと皆心配そうな面持ちで立っていた



永倉「どうだ??」



雪村「それが...傷は塞がりかけています」



全員-雪村「っ!?」







その後、Aは一階へと運ばれた

先に一階へ運ばれていた沖田は意識を戻していた



カタンッ



横で板を置く音がする

沖田はそちらへ視線を向けると言葉を失った



沖田「Aちゃん...??」



そこには袴が血で紅く染まり、
眉間に皺を寄せ苦しそうに息をするAがいた



沖田「なんで...」



原田「Aが屯所に来てすぐ襲ってきた奴だった」



原田の言葉を聞き沖田は怒りを露にした



沖田「っ!!」

沖田「あいつが..」











それぞれがあの日の出来事を思い出していた時、




ドタドタドタドタドタドタ




走る足音が広間へと近づいてきた



スパンッ



勢いよく開かれた障子から姿を現したのはAである



全員「!?!?」



その場にいた全員が驚きのあまり固まった

Aは広間を見渡し、
深手を負った沖田と藤堂へ視線を向けた

いつものようにこちらを向いて座っている二人を見ると
Aは胸をなでおろした



A「良かった...」



雪村「Aちゃん!!」



千鶴は急いでAに駆け寄り抱きしめた



A「うわっ!! どしたの千鶴」



Aは優しく千鶴の頭を撫でる



A「!!」



ふと顔を上げると目の前には沖田が立っていた



沖田「もう大丈夫なの??」



心配そうに聞く沖田



A「全然大丈夫!!」



Aはニカッと笑うと腕をブンブンと振って見せた

それを見た沖田は
「ほんとだ」
と言い安堵したように笑った

肆拾) 鬼・壱→←参拾玖) あの日・壱



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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年2月6日 15時

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