260話 小さな恋12 ページ10
華の元気がない。
そう話したのはモデル会社の森坂。
華のマネージャーである青木と知り合いで、最近の状況を聞いたらしい。
司との交際を知る一人でもある。
「青ちゃんも心配しているわぁ」
カウウターが指定席の森坂はクルリと椅子を回して正面に戻る。
「相変わらず張り付かれてんのね。雑誌記者さんたちに」
外には数名の男たちが立っている。
記者やカメラマンの数は減ったものの毎日店に張り付いている。
営業が出来る状態になったものの、客足は減ってしまった。
「うちの色男たちがね、人気者ですよ」
はいどうぞとカウンターからケーキを出す潤。
「アップルパイのアイス添えです」
「いやーんおいしそう」
二階から足音。
翔がトレーを片手に降りてきた。
「あら色男1号」
「いらっしゃいませ」
優しい笑顔の翔。
「色男2号は？」
「今、食品庫で在庫チェック中ですよ」
「……大丈夫なの？そんな狭い所に入って」
森坂は雅紀の事件のトラウマも知っている。
「大丈夫です。ようやくというか、あのモデルの一件でトラウマをすっかり克服したようです」
翔の言葉に思い出す。
和也と共に掃除用具に閉じ込められた雅紀。
あれから精神的な面でも回復をみせた。
「閉じ込められた時にニノも一緒でしたから。暴れた事もプラスになったようです」
狭い＝恐怖。
暗い＝孤独。
無抵抗＝身の安全。
と、染みついていた精神的なトラウマが解放された。
おかげで和也の方も少し過保護怪獣カズゴンが大人しくもなったらしい。
「潤君、オリーブオイルとペンネのパスタが品薄だよ」
裏からひょっこり顔を出した雅紀。
店にいた客人たちはざわめく。
女優の恋人と報道をされている雅紀の存在は好奇の目が向けられる。翔も同様だが。
目立たない程度でカフェの仕事をこなしていた。
「今、華さんの話をしていたのよ。かなり落ち込んでいるらしいわよ」
まだ司は華と話をしていないのだろうか？
ナイスタイミングで司が現れた。
「配達で〜す」
「おつかれさーん。はいこっちぃ」
定位置となりつつあるカウンターの裏。
作戦会議が始まった。
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
