296話 寄り添う親子10 ページ46
「地上げ屋から朔太さんを助けた？」
お礼にビールを持ってお礼に訪れた朔太親子。
雅紀は昼間の事を皆に黙っていた。
危険に飛び込んで行ったと叱られるのは目に見えていたから。
掃除を終えた店の中で、お礼を述べる朔太親子を前に顔をひきつらせる潤と翔。
智は雅紀が足音を立てずに二階へ逃げようと移動するのを横目で見ていた。
「どこ行くんだよ雅」
腕を組んで仁王立ちの和也に行く手を阻まれる。
「朔太さんを助けたんだって？」
「助けたって言っても殴り合いとかそんなのしてないよ」
和也の目が細くなる。
シュンと頭を下げて小さくなっていく雅紀。
「雅兄ちゃんが追い払ってくれたの！恰好良かったんだよ」
亜子のフォロー。
「まーさ〜き」
翔が近づいてきたと思えば、手のひら、腕、裾を上げて足をチェック。
怪我はないようだ。
「ちょっと話をしただけだよ」
体調が悪いと隠そうとする雅紀。
故にその部分の信用はない。
「本当に雅紀さんに怪我はないです！」
朔太の言葉でやっと信用されるくらいだ。
悪いことをしてしまった子供の様に上目づかいで和也をチラリ見る。
和也は笑っていた。
「怒らないよ、ほめてあげますよ」
「え……？」
「人助けをしたんだから。朔太さんも元気そうで良かったし」
潤も笑っていた。
「怪我もなく満点だ」
翔が雅紀の頭をワシャワシャと撫でた。
智が雅紀の手を握った。
「上出来。頑張った」
「へへへ……」
顔がほころぶ。
「でも〜」
和也が雅紀の両頬をつねる。
「いてててて！」
「呼べよ。一人で突っ走んな。次は俺を呼べ」
「ふ、ふぁい」
頬が解放。
涙目で雅紀は頬を擦る。
「本当にありがとうございました」
礼を何度も口にする朔太。
「でも大丈夫ですか？地上げ屋……の嫌がらせも始まっているんでしょう？」
潤の言う通り。
「酷くなるようなら警察に相談しようと考えているんだけど」
そこまでの嫌がらせは受けていない。
「あの二人組は毎日来てるんですか？」
小林という中年と若い青年。
「えぇまぁ……初めの頃は違う男が来ていたんだけど最近は小林って人で
「最初は違う人だったの？」
顎に小さな傷がある男だったと朔太が言うと翔が思い出したように声を上げた。
「俺も見ましたよ」
自転車修理で整備工場を訪れたあの日に見かけた男。
前髪で鼻から上は隠れていたが確かに顎に傷があった。
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
