290話 寄り添う親子4 ページ40
カフェの二階にある智のアトリエはただいま可愛い来客中。
智はキャンパスに向かい、その隣に置かれたテーブルには亜子が座る。
画用紙に亜子は絵を描いている。
「うまく描けたらアトリエに飾ってやるぞ」
「本気で言っているの智兄ちゃん？」
「マジ」
「あたしのファンが増えたら困るからダメ」
「そっか」
カフェ一同と亜子親子は仲が良い。
一番仲がいいのは智と亜子だ。
もともと智と亜子が友達だった。
道路にチョークで絵を描いていた亜子に話しかけてから友達になった。
「おやつをお持ちしましたよ、亜子姫」
「やった！ニノ兄ちゃんありがとう！」
「潤兄ちゃんお手製のパンケーキね」
パステルクレヨンと画用紙をテーブルの端に寄せる。
手を合わせて頂きますと頭を下げた。
礼儀正しい。
天真爛漫で素直であるがしつけもしっかりされている。
亜子の家は父子家庭。
二年前に母親は家を出て行った。
「うめぇか？」
「うん最高！」
智の腕を亜子は掴むと腕時計を覗き込む。
まだ父親は迎えに来ない。
小さな溜息。
「宿題……持ってくるんだった」
小さな頬をムクムク動かす。
「留守番はまだ出来ないんか？」
「出来るよ。小３だもん。でもダメだって父ちゃんがね言うの」
「父ちゃんそんなに過保護だったか？」
「ん〜過保護じゃないよ。この頃ね」
家に訪れる人がいるのだという。
「なんか怖い人たち」
「怖い人たち？何しに来てんだ？」
「お家を売れって……」
地上げ屋？
「亜子の家だけじゃないのよ。ご近所さんとこも来てるの」
今日、整備工場は休みではなかった。
急に町内会の話し合いをすることになり午後からの急きょ休み。
話し合いというはきっと亜子の言う怖い人たちへの対策会議だろう。
会議中、家に一人亜子を置いていくことは出来ない。
いつやってくるかもしれない連中。
「成程ね……地上げ屋みたいなもんかな。てことはアパートを建てるとか開発計画的な感じなんかな？」
智の考えは的中。
亜子を迎えに来た朔太に話を聞いた。
朔太たちの住む町内一帯で開発計画があるのだという。
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
