285話 書き換えた記憶18 ページ35
雅紀が泣きそうになっているのは潤の心だ。
子を求める親を目の前に複雑な気持ちでいたであろう潤の気持ちに泣いている。
伸ばされた手を取ってやりたかっただろう。
偽りの子になってでも悲しみを止めてやりたいとどれ思っただろう。
潤もまた親を求める子であったのに。
「潤君にはシスターや教会の子たちがいるぞ」
「俺らもいるでしょう」
「……うん…」
涙を我慢。
耐えているところに潤が部屋に入ってきた。
「毛布持って来たぞ。ほら」
顔を見た途端に涙腺崩壊。
「うううっ」
「雅紀？」
「あぁJが雅を泣かしたよ」
「お、俺？」
泣き顔を隠そうと和也の背中に顔をくっつけた。
「うわ！……最悪…絶対鼻水ついてるし……」
潤は焦る。
泣く程具合が悪いのか。。
熱が上がってきたのかと雅紀の額へ手を伸ばした潤に自分が家族になると小さな声で伝えた。
「雅紀？」
和也の背中に顔をつけたまま動かない。
「俺、潤君の兄ちゃんになる……」
「私も兄貴になります。おのーさんは釣り道楽の親父で」
ピンときたように潤の顔が固まった。
「……俺の事なんて気にしなくてもいいのに……」
「それだけJが大切なんですよ。皆ね」
「俺は傷ついてないよ雅紀」
すんすん鼻をすすっている。
「寂しく感じたことはないし、皆と出会えて一緒に暮らせて嬉しい。だからさ」
だから早く元気になれよとワシャワシャと頭を撫でる。
「……うん……また一緒に教会行こうね潤君」
「あぁ」
大きな足音と共に翔が登場。
キッチン行たはずなのに両手に買い物袋を下げていた。
外へ買い物に出ていたらしい。
「口当たりのいいもの買ってきたよ。ゼリーに缶詰、アイスもある。スポーツ飲料も」
「翔君さっきおろしリンゴを作ってなかった？」
潤が首を傾げる。
「いや……芯まで一緒にやっちゃって……なんか口当たり悪くなったから……」
諦めて買い物にいったらしい。
和也は小さく笑い、
「家族構成としたら……翔さんは料理の残念なお母さんってとこでしょうね」
と言うと雅紀も潤、智は噴き出して笑い出した。
「ダメだ、笑うな。あーばちゃんもニノも熱が上がる」
「熱が上がってもいい笑わせて、ひゃひゃひゃっ」
「おまっ、背中によだれもつけてんだろ。でも……笑える！」
「あははっ笑った方がすっきりして熱が下がるかも」
笑い転げる四人。
翔は顔を引きつらせて立っていた。
「……にぎやかなのはいいけど……酷く馬鹿にされているように感じるんですけど〜？」
無事一件落着。
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
