280話 書き換えた記憶13 ページ30
28年前、白石のマネージャーを務めていた上里という男性。
翔が連れて来た。
驚き息を飲む白石。
男性は久しぶりだねと声をかける。
「俺が定年してからだから……5年ぶりか……」
震える声で白石が返事をする。
「そう…ね、でも……何故ここに？」
「それは俺から説明させて頂きます」
翔は偶然に会ったとのだと答えた。
「今日はとある場所へ行ってきました。そこで偶然上里さんにお会いしました」
カフェを休んで翔は出かけていた。
和也が探った白石の過去。
雑誌記者である真由美に頼み調べてもらった。
白石が妄想に病んでそれに雅紀や潤を巻き込もうとしているように感じてならなかった。
けれど……白石の過去は悲しいものだった。
最初は和也が悲しい過去を確かめに出かけようとしていた。
けれど雅紀のそばをはなれてはいけないような気がして翔へその役割を頼んだ。
翔は役割を果たしてきた。
過去を全て確かめてきた。
「……白石さん……あなたの言っていた通り未婚で子供を産んでいました…」
「そうよ。元気な男の子よ。そこにいるわ」
潤を見つめる。
「彼は潤です。松本潤という別人です。あなたの息子さんの幸人(ゆきと)さんではない」
「……ゆ……きと？」
「そう、幸人さんです」
「俺たちは知っているんです。幸人さんの存在を」
雅紀は優しく白石の右手を掴む。
そして両手でしっかりと包んだ。
「思い出してください……白石さん自身が思い出さないと幸人さんは悲しいままだよ」
「悲しい？」
大きくて温かな雅紀の手に包まれ、白石の思考は過去へさかのぼっていく。
「あの人や事務所に反対されたけど産んだのよ……色が白くてかわいい子。良く寝るいい子」
「うん」
和也は雅紀の背後に立つと背中に手を当てた。
支える。
最後まで頑張れるように。
「出産してすぐ女優へ復帰したの。幸人を育てていくために働かなければ……マネージャーの上里さんや事務所の人の手を借りて……」
撮影現場の近くにアパートを借りて、撮影中は事務所の人間や上里らが、休憩中は白石が面倒を見ていた。
「あの子が産まれて4か月……映画の撮影が始まってひと月たった頃だった」
「うん」
「あの子が…幸人が突然いなくなったのよ……」
「いなくなった？」
「連れて行かれたのよ……」
「本当に？」
白石の目が揺れた。
雅紀は確信に迫る。
「思い出して？どうやっていなくなった？」
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
