277話 書き換えた記憶10 ページ27
夕食を終えたて、食器洗いの雅紀と翔。
潤はマンションの封筒を見ては溜息をついている。
テーブルの上に置いた携帯電話が鳴る。
和也の物だ。
「和〜電話だよ〜」
「はいはい」
和也は電話を手にすると相手を確認、すぐに通話をはじめる。
「うん俺です。……わかったの？そう。今？大丈夫」
しばらく話し込んでいた和也。
通話が終わると静かに携帯電話をテーブルに置く。
「……ねぇ片付け終わったら話したいことがあるんだけど……」
「もう終わるよ〜」
「おーのさんとJも」
「おう」
リビングに潤智はラグに腰を降ろし、翔はキッチンからテーブルの椅子を持ってきて座る。
雅紀と和也はソファーに並んだ。
「実は……調べていたことがあるんです」
「調べていた事？何それ？」
雅紀の問いに答える。
「白石さんの過去についてです。真由美姉ちゃんに頼んで調べてもらっていました」
錦織の妻、真由美は雑誌記者。
先ほどの電話はその真由美かららしい。
「過去？」
「白石さんの子供の事だよ。この業界にいて人知れずに赤ん坊を産めたのかな？当時は売れ始めの女優だろう？」
「……嘘をついているようには見えないよ」
雅紀のいう事もそうだが、和也の疑問も気になる。
「はっきりJが息子でないことを証明しないと……世間に公表でもされたらややこしいことになりますよ」
今の白石の精神状態は傍目に見ていても脅威。
いつ自分の番組内で告白するかもわからない。
人騒ぎが起きる前に手を打たなければ。
「最終的には……血液検査かな？」
「DNAで親子かどうかを調べるって事？」
そんなことをしなくても親子である確率はゼロである。
「白石さんを納得させないといけない。今の状態は妄想そのものですよ」
納得させるために調べた。
真由美に動いてもらった。
「……一つ事実が判明しました」
「事実って？」
潤の顔を見た和也は悲しい表情を浮かべる。
「その事実を白石さんは知っている筈なんです……でも知らない素振りをしている」
「言っていることがわからないよ」
雅紀でだけではない。
和也以外の皆がわからずにいた。
酷くつらそうな声で和也が話した言葉は……
「……彼女の息子はどこにもいないんですよ」
だった。
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
