276話 書き換えた記憶9 ページ26
釣りから帰宅した智は寝込んでしまった雅紀の姿を見て、不機嫌になる。
「んだよ。偶然……じゃねぇな。あーばちゃんに引き寄せられたか……」
詳細を聞いて雅紀の顔を覗きこむ。
白石が教会に訪れたのは雅紀の力のせいらしい。
帰宅してから昏々と眠っていた。
仕事で寝不足の和也もベッドに顔を伏せて眠っていた。
「智君メシが出来たって。ニノ……は寝せておこうか」
「んだな」
翔に呼ばれキッチンのテーブルへ移動する。
三人だけの食卓は少しさみしい。
「……気をつけなきゃなんねーぞ」
「うん」
「潤君がだぞ」
「俺？」
目的は潤だ。
雅紀よりも注意しなければならない。
「俺は大丈夫だよ」
と言ったものの……。
白石の行動は潤の想像をはるかに超えていた。
毎日のようにカフェに足を運ばせる白石は、二階ではなく一階のカウンターに座るようになった。
客が多いときは店内の混乱を避けるために二階へ移動をしてもらうが。
視線は潤だけに向かられている。
それだけならまだいい。
プレゼントも多い。
今まで何も買ってやれなかったからと服やカバン、時計を持ってくる。
潤は受け取ろうとしない。
今まで仕事の休憩時間にカフェにやってきていた白石だが、仕事終わり、閉店後に顔を出すことも多くなっていた。
「閉店後の来店は困ります」
「親が子に会いに来て何がダメなの？」
連日繰り返される。
「潤君大丈夫？」
今夜も何とか白石を帰宅させた。
掃除と明日の仕込みを終えるとぐったり家のソファーに潤は横になっている。
「……ごめん……メシ今作るから」
「今日は休んで。おーちゃんと和が作ってくれているよ」
ほうじ茶を淹れて雅紀がいたわる。
「サンキュ」
湯呑を置いたテーブルの上に一通の封筒。
「……これ……」
「マンションの……一緒に住もうって。どれがいいか選んでくれって置いて行ったよ」
「マンションまで買おうとしているの？」
「今住んで居る部屋を引き払って、新しく購入しようとしているらしいよ……」
「それは止めなきゃだな」
翔も驚いている。
「どう止めたらいいんだ」
「……うーん……気持ちが暴走しているから……今度はしっかりと話を聞かなきゃ」
「ダメだ」
雅紀の発言に潤と翔は声を合せる。
白石に近づくのは危険。
少しの話を聞いただけでダメージは重かった。
教会から帰宅した翌日も雅紀は寝込んだ位だったのに。
和也もキッチンから駄目サインを出している。
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むつき(プロフ) - だんぼさん» おひさしぶりです！今回のお話は重くてなかなか文章が出てきませんでした。そんな優しい言葉を言われたら泣いちゃいます。ありがとうです。これからもがんばります。 (2014年4月12日 23時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - むつきさん、お久しぶりです。潤くんのお話…切なかった…白石さんの記憶を思うと… そしてそれを感じてしまう雅紀と支えるにの…5人の絆と優しさに 感動しました！ むつきさんのお話って本当に温かくて、後からじんわり効いてくる…そんな感じですね… (2014年4月12日 13時) (レス) id: 5df5e1bd71 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - みのりさん» はじめまして。読んで頂き嬉しいです。ほっこりが伝えて行けるようにこれからも精進致します。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ケイさん» すべてを受け止める優しさは強さでもありますよね。彼にはそんな力があると思います。コメントありがとうございます。 (2014年4月9日 23時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初めてコメします。このお話し大好きです。5人のホッコリ感もとっても素敵です。ずっと続けて下さい。 (2014年4月9日 10時) (レス) id: 5959279da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2014年3月8日 19時
