24.決意と想い ページ24
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買い物袋を両手に抱え、私たちは帰路についた。
「いやぁ、いっぱい買いましたねえ〜」
「ほんまにな!ありがとうな、Aちゃん。」
「これくらい平気ですよ!これでしばらくは大丈夫そうですね。」
セミの鳴く声が聞こえ、額から汗が流れ落ちる。
夕方になっても、昼間とおなじ暑さに嫌気がさす。
「しかし、もう夏やなあ…あっついなあ…」
「ですねえ…早いなあ…」
「……俺は、どの季節までここにおるんやろうな…」
「…………………。」
拓也さんがこの時代に来てから何ヵ月か経った。
しかし、一向に元の時代に戻る気配もなく、方法もわからずじまいだった。
――――もし、ずっとこのままだったら?
そんな考えが頭をよぎった。
そりゃ、こんなに素敵な人とずっと一緒にいられるなら本望だ。
しかし、そうしたら過去の拓也さんは…オーラルはどうなるのだろう?
現代の拓也さんに影響はないのか?もしも鉢合わせたら?
たくさんの疑問が溢れ出る。
「ま、俺はAちゃんと過ごすこの時間が楽しいんやけどな!」
「まーたそんなお世辞言って……」
「へへ〜!」
私の隣で笑っている人。
私はこの人を必ず元の世界に返してあげなきゃいけないんだ。
たとえ、自分の気持ちを殺したとしても。
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作者名:ゆき | 作成日時:2020年7月16日 1時