22.もっと、ぎゅっと。 ページ22
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「たくやさーーーーん!!買い物行きましょーー!!」
寝ている拓也さんの布団を勢いよくはがす。
「んん…なんでそんな元気なん…もーちょい寝る…」
再度布団にくるまりはじめた拓也さんの布団をもう一度はがす。
「昨日結局何も買えなかったじゃないですか!行かないと拓也さんの服買えないですよ!」
「んん〜わかったって…」
眠たい目をこすりながら拓也さんが起き上がる。
大きめのTシャツから覗く胸元がとても…
「えっちだ…」
「なんて?笑」
「だめですよ拓也さん…女子大生を誘惑しちゃ…」
「Aちゃんってたまによぉ分からんなるよな。」
(世界中のファンの皆さんごめんなさい…私は今、幸せです……!)
「変なこと考えてないで、準備して行くでー」
「ごめんなさい。」
朝食をとり、身だしなみを整えて私たちはまた駅前に来た。
「…………」
「…Aちゃん、大丈夫?」
昨日の出来事が脳裏にこびりついて離れない。
あいつの顔、台詞、すべてが。
「…ごめんなさい、大丈夫です…」
「………」
怖くて震えていた手を、拓也さんが優しく握ってくれた。
「た、拓也さん…?」
「今日は俺とAちゃんのデートやからな!デートと言えばこうやろ!」
「でー…?!え?!どういうことですか!!」
「ほらいくで〜!」
ぎゅっと握りしめ、私の手を引いて歩きだした。
さっきまでの怖さが嘘のように消えていた。
「……ありがとうございます」
「ん?なんか言った?」
「…いえ、行きましょ!」
拓也さんのあたたかい手を、ぎゅっと握り返した。
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作者名:ゆき | 作成日時:2020年7月16日 1時