50.おめでたいヤツ ページ20
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俺は未来の手を振り払った。
「いたっ…何すんのよ!」
「Aに何かあったとしてもお前には関係ないし、それがAを嫌いになる理由にもならへんわ」
「へぇ……そんなにあの傷物が好きなんですね〜」
「そんなもん関係あらへん。『人の男を奪う女』のほうがよっぽど嫌いやわ」
「……さあ?なんのことやら」
未来は自覚しているのも隠そうとせずに笑う。
「どういうつもりでそんなこと言ってんのか知らへんけど、ほんと醜いよ、アンタ。」
「……未来はね、あの女が嫌いなんです。未来の欲しいもの全部奪っていくあの女が。
たくみ先輩の事だって、未来の方が先に好きだったのに…」
未来は左手の親指の先を噛み、肩を震わせて地面を睨みつける。
「だからってそんな汚い真似して奪って満足か?」
「ええ、あの女の悲しむ顔見たら満足ですよ。
そして何より、先輩は未来を選んでくれた!未来の方が上だってことですよ!」
(こいつ…どこまでも救いようがないな…)
「君も遊ばれてるだけかも知らんけどな」
「…なかなか言うじゃないですか」
「所詮体付き合いから始まったもんはその程度ってこと。」
「そんなことないもん!先輩は未来だけが愛してくれるってーーー」
本当にオメデタイ頭でなによりだ。
「…Aのこともあの男のことも何も知らねーくせに」
「……どういうことよ」
未来は血の滲んだ親指を口から離すと、俺のことを睨みつけた。
「全部あの男がクソだったってこと。」
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ゆき(プロフ) - pさんありがとうございます!時間が少し取れるようになってきたので、またゆるゆると更新していきます! (2021年1月26日 20時) (レス) id: 71c19dbaab (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - 更新ありがとうございます! 続きがとても楽しみです(≧∀≦) (2021年1月24日 12時) (レス) id: 7148025d73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2020年9月7日 2時