過去の君は未来の私と。2

44．終演 ページ14

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奈良の公演はなんとか無事に終わった。

余韻に浸る間もなく、急いで会場の撤収作業をする。

終わり次第すぐにホテルに移動し、次の日の朝には次の会場である愛知県へと移動していた。



愛知の公演では、拓也さんは調子が良かったらしく、一日通してあの辛い表情をすることはなかった。


(肺炎が治ったわけではないけど……とりあえず今は大丈夫そうでよかった…)



未来を変えることが何よりも怖かったため、拓也さんに肺炎のことは終始伝えることができなかった。

それとなく気にするようにとは言っておいたが、果たしてどうなることやら…



す「Aさーん！打ち上げ会場移動するよ〜！」

撤収作業を終え、待機していた私をすぎぶちさんが呼ぶ。



「あ、今行きます―！」

「私はタクシー捕まえてるから、Aさんはメンバーのワゴンの方乗って行ってね。」

「え、あ、はい！」



駐車場へ走り、ワゴン車の助手席のドアを開く。

あ「あ！Aちゃん！お疲れ様〜！」

後部座席から真っ先にあきらさんの頭がとびだしてきた。

「お疲れ様です！」

続けて拓也さんとまさやさんも「お疲れ様」と声を掛けてくれた。

しげさんは……アイマスクをつけて寝ているようだ。



ま「珍しいね。ぶっちが乗らないの。」

「あ、すぎぶちさんは他のスタッフさんとタクシーで向かうそうです。」

あ「それよりさ、今日はどうやった？？大変やったんとちゃう？」

ま「そりゃあ、あれだけいろいろとあったらな…」



今日の公演は、拓也さんの体調に変化がなかったことはよいものの、かなり大変だった。

しげさんのギターはまた壊れるし、あきらさんははしゃぎすぎてこけそうになるし、まさやさんは勢い余ってマイク叩いちゃうし…


「まあ……皆さんが全力を出せたのなら、それで構いません笑」

ま「絶対気ぃつかわせとるよな笑」

「…まあでも、ほんまに二日もありがとうね。助かった。」

「いえ！こちらこそ、ありがとうございました！」


今日のライブのことや、他愛もない話をしているうちに、打ち上げ会場へと到着した。


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