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未成年組は買ってきたお惣菜を広げて、成人組はお酒含む飲み物たちを並べて……知らぬ間にパーティみたいな空気になって、気持ちがわくわくした。
この家でこんなふうにご飯食べるなんて、想像してなかったなぁ。
『お、シャンメリーだ。』
狗「開けてみるか?」
『私が開けると必ず噴き出すんだよ〜…』
狗「ちょっとコツがいるんだよ。こっち来てみ。」
手招きされるまま着いていくと、トウマくんは私にシャンメリーの瓶を握らせた。
狗「こんくらい傾けて…そう、それでゆっくり回してガスを逃がしながら開けるんだ。手痛くなるから、栓は布で覆っとけ。」
『ふんっ……、ぉ、おおぉ…!零れてない!』
狗「だろ?できんじゃねぇか。」
『えぇ〜1つ賢くなっちゃった。』
軽く笑って私の頭をワシワシと撫でるトウマくん。マジお父さん。トウマくんじゃないとこの撫で方絶対許さない。
虎「巳波、この家グラスってあんま無いのか?」
巳「私だってシャンメリーくらい開けれますけど。」
虎「何の話してんだお前は。」
巻き込まれまいとそっと距離を取る悠くんが、視界の端に見えた気がした。
・
『この2人ってこんなお酒弱かったっけ。』
巳「弱くはないですがペースが速いんです。」
亥「久々に集まってご飯だったからテンション上がってたんじゃない。」
時刻は23:30。目の前には酔っ払ったトウマくんと虎於くん、そして隣には帰ることを放棄して「ばあちゃん」とやらに連絡してる悠くん。
巳波は残った食べ物をタッパーに詰めて、台所に持っていった。
『なんかこういうの楽しいね。定期的にやりたいね。』
亥「やればいいじゃん。」
『んーん、多分私がこうなってる時限定じゃないかな〜…』
悠くんがスマホから目を離して、ちらりと私を見る。
『昨日なんて、巳波のこと散々振り回しちゃったんだ。しばらくワガママは控えなきゃ。』
亥「……ワガママなんて、巳波言ってないよ。」
『え?』
亥「今日のこと、……まぁ、言うなって言われてるけど…
Aはあんま食べれないからこういうアラカルト料理集めて食べさせようって言ってたし、その上で2人だと消費が難しいからってオレらを呼んだのも巳波だし。」
『…っ、』
亥「巳波は、ただお前のことを喜ばせたかっただけなんだと思う。」
さり気なさすぎる気遣いと、それを隠そうとした巳波のいじらしさに、胸がじんと熱くなった。
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さちこ - 妹の特権シリーズ、全部大好きで、本当に素敵なお話ばかりで、書いてくださっていることに感謝です。甘やかしてくれる巳波が最高です。これは本当に勝手な希望なのですが、いつか和泉兄弟の妹(一織と双子とか)のお話を書いて下さらないかなあと思ったりしています… (1月21日 22時) (レス) @page28 id: e8a5c1f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
妄想人間 - ありがとうございます。いつも楽しく読ませてもらってます!リクエストなのですが妹ちゃんがゼロの絵を描いてる時に九条と出会って舞台演出の絵を妹ちゃんに描いてもらう話を見てみたいです!よろしくお願い致します。 (10月2日 12時) (レス) id: 2d8b52f242 (このIDを非表示/違反報告)
なつめみく - 今気づいたけどこの人の他の小説自分めちゃくちゃ読んだことあってタグの天野いろはって名前をよく見かけててこの作品の凄いって思って作者みたらいろはさんでした (9月30日 22時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
全自動駄作製作機(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます、棗兄妹もŹOOĻも皆幸せに暮らしてね...珍しくお熱出しちゃう話とか読みたいです。 (8月26日 17時) (レス) @page2 id: 71c95f50b7 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - いつも楽しく読ませてもらってます!八乙女楽との絡みがみたいです。 (8月24日 23時) (レス) id: d3cdc3cfb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天野いろは | 作成日時:2023年8月6日 2時