検索窓
今日:5 hit、昨日:13 hit、合計:25,117 hit

ページ23

七瀬陸







何かを伝えたいけど言葉を選びたいって時、オレはいつも読んだことのある小説の言い回しを参考にする。

でも今は、いつか一織が言っていたことを思い出していた。







__沢山小説を読んでいると物知りにはなりますけど、だからと言って元の語彙力が上がる訳では無いんですよね。

__…え、なにどういう意味?今オレのことバカにした?







あの時は思わずムッとしたけど、確かにそうだ。





『っ……他に、もっとあるでしょ…』

七「えへへ、ごめん。」





声を震わせながら涙目で見てくるのとか、

オレのことを思っているからこそ、いつもより強い口調で怒ってくるのとか、

オレを見た瞬間安心したような、心底嬉しそうな顔をするのとか、





全部、「好き」以外に言い表しようがないんだもん。





『…もう苦しくないの。』

七「うん。」

『入院は?』

七「明後日まで。」

『…わかった。』





七「A。」

『なに?』

七「心配かけてごめんね。
それと、心配してくれてありがとう。」





腕を解いて正面から見つめると、零れ損ねた涙が目尻に溜まったまま、Aは少し目を見開いた。





『………、それが仕事だから。』





困ったように目を逸らすのも、Aなりの気遣いなんだと最近知った。


君が「仕事だから」「バイトだから」「お金もらってるから」って言いながら、誰よりもオレたちのことを考えて一生懸命動いてくれてるの、もうみんな知ってるんだよ。

そんな君だから、オレは。





七「……月、綺麗だね。」

『…小さい声でそういう事言うと意味出るよ。』

七「意味込めてるもん。」

『……』





そう言えば、Aも本を読むのが好きだった気がする。

だからこの言葉の意味も、知ってるんだろう。





七「…顔赤い。」

『日焼けならぬ月焼け。』

七「無理があるってば。」





一織の言ったことはAにも当てはまるんだなぁと笑っていたら、ぺちっと頭を叩かれてしまった。







***→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (88 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
375人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

天ヶ瀬(プロフ) - 更新お疲れ様です‼️この小説ほんとに大好きですみんな解像度高くて解釈一致すぎます大好きです、、、😭😭更新きた瞬間飛び跳ねましたこれからも応援してます頑張ってください‼️‼️ (1月9日 21時) (レス) @page17 id: 2303c9977f (このIDを非表示/違反報告)
名無し47300号(プロフ) - 更新ありがとうございます😭 (10月30日 12時) (レス) id: bb80c8ded9 (このIDを非表示/違反報告)
なつめみく - ふははははははは!!!今までの元カレが塵のようだ!!!!!三月結婚しようか。あ、りっくん目があったね?逃がしませんよフフフフフこんな素晴らしい話を読んでりっくんに浮気とかしないわけないじゃないですかミツカン (9月27日 12時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - くっっっっっっ......好きです......ありがとうございます...応援してます!!!!!! (8月29日 0時) (レス) @page10 id: 8319d77ff3 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 初めまして!妹の特権シリーズ読んでからファンです!このお話も好きです(*´ω`*) (8月14日 3時) (レス) @page8 id: d3cdc3cfb4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天野いろは | 作成日時:2023年8月5日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。