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九「そう言えば、陸目覚めたよ。」
『……え、』
九「まだ起きてる。行ってらっしゃい。」
毎度思うけどこの兄弟、基本人の反応待ってくれないの？
気持ちがまとまらないまま待合室から放り出されて、思わずため息をつく。
＿＿「A？」
『！』
それが聞こえたのだろうか、少しか細い彼の声が、向かいの病室から聞こえてきた。
そっとドアを開けて、中を見る。
七「…やっぱり、Aだ。」
『……』
七「ごめんなさい。また、迷惑かけちゃって。」
違う。
って、言いたいのに、声が出ない。
その時初めて、喉が締め付けられるような痛みを自覚した。
『な、なせく…っ』
七「…A……？」
『ばか……っあんたは、馬鹿だ…！』
零れずとも目元に溜まっていくこの水は、いつぶりに出したっけか。
この歳になって、同い年の男の子にこんな姿を見せることはきっと二度と無いだろう。
七「泣いてるの…？」
『…っ』
七「行かないで！」
恥ずかしくなって踵を返したけど、すぐさま止められて動けなくなる。
服を掴まれてるとかでも無いのに、彼の声で止まってしまった。
七「…泣かせてごめん、A。
謝りたいからこっち来て。」
『……やだ』
七「お願い。」
A、と私の名前を呼ぶ声がどこまでも優しくて、気持ちが揺らぐ。
七「話す前に逃げられちゃったら、何も伝わらないよ。」
『……』
七「お願い、こっちに来て。
オレに言いたいこともあるんでしょ？いっぱい言ってよ。」
いつもみたいに、タイミング良く万理さんが来ることもない。
七瀬くんの、こういう所が苦手だ。2人きりになったら逃げられなくなる。いつになく真剣な声で言われたら、聞こえないふりもできなくなる。
その度に、なんでか心臓が苦しくなるから。
『……、』
なるべく目を合わせないように振り返って、ゆっくり近づく。
足元だけを見てるから、方向が合ってるかはわからない。
暫くすると視界に大きな手が入り込んできて、頬に暖かいものが触れた。
七「A、」
『…なに、』
七「好き。」
謝るために呼んだんじゃないの？
そんなツッコミをする前に抱きしめられて、それも叶わなかった。
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天ヶ瀬(プロフ) - 更新お疲れ様です‼️この小説ほんとに大好きですみんな解像度高くて解釈一致すぎます大好きです、、、😭😭更新きた瞬間飛び跳ねましたこれからも応援してます頑張ってください‼️‼️ (1月9日 21時) (
レス) @page17 id: 2303c9977f (このIDを非表示/違反報告)
名無し47300号(プロフ) - 更新ありがとうございます😭 (10月30日 12時) (レス) id: bb80c8ded9 (このIDを非表示/違反報告)
なつめみく - ふははははははは！！！今までの元カレが塵のようだ！！！！！三月結婚しようか。あ、りっくん目があったね？逃がしませんよﾌﾌﾌﾌﾌこんな素晴らしい話を読んでりっくんに浮気とかしないわけないじゃないですかﾐﾂｶﾝ (9月27日 12時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - くっっっっっっ......好きです......ありがとうございます...応援してます!!!!!! (8月29日 0時) (レス) @page10 id: 8319d77ff3 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 初めまして!妹の特権シリーズ読んでからファンです!このお話も好きです(*´ω`*) (8月14日 3時) (レス) @page8 id: d3cdc3cfb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天野いろは
| 作成日時：2023年8月5日 10時
