妹の特権【棗巳波】

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頭の中で必死に言い訳を考えていると、手に持っていたノート(ネタ帳)を巳波に抜き取られる。





巳「あなたがちょっとやそっとの叱責如きでは動かないくらいに本気なことは伝わりました。」

『……、』


巳「その上で、私が"これら"のメリットを凌駕する好待遇の仕事を紹介すれば文句は無いですか？」





『…ん、ぅ、んん……？？』





ごめん巳波、私馬鹿だからよくわからないんだが。

それを知ってか、巳波は私の前にずいっと私のノートを突きつける。





巳「まず一つ、給料関係。これは今あなたがツクモでしている絵師の仕事の範囲を更に拡大すればもっと報酬をあげられます。
あとあなたは動画編集も齧っていますね？功績をあげていけばMV作成に関われるように私がコネを作ってもいい。」





……ちょ、えっ。

つまり、ツクモでは私が書いたメリット全部＋‪αの仕事ができるってこと！？





巳「二つ目は」

『待って待って巳波！いくらなんでもそんなうまい話ある？盛ってない！？』

巳「私を誰だと思ってるんですか、ここに入る前は星影にいたんですよ？
業界の噂話なら、明るいものから闇に葬るべきものまで知り尽くしてます。それを使って偉い人を脅せば一瞬です。」

『そっ……』





そんなことを巳波にさせたいんじゃないんだよ〜！





『そういうんじゃない！私は…その、普通に働きたいだけで…』

巳「だったら普通のバイトを選んでください。
目先の利益にばかり惹き付けられて自分の選択を信じて止まないの、あなたの昔からの悪い癖ですよ。」





だいたい、と眉をひそめながら、巳波は続ける。





巳「あなた、このバイトがしたいんじゃなくて、手っ取り早くお金を稼ぎたいだけでしょう？」

『(ぎくっ)』





明らかに強ばった私の顔を見て、巳波が大きくため息をついた。

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