妹の特権【棗巳波】

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「新作グッズ、完売です！」





いつもより少しテンションが高い宇津木さんの声に、思わず立ち上がる。





『ほんと！？ですか！？』

宇「はい、ここまで早くに売り切れるとは思いませんでした。
デザインが可愛いと、ファンの皆さんも大満足です。」


狗「凄いなA！」

亥「売り切れてもオレたちはちゃんと別個で貰えるんだよね？」

虎「ネットでも話題になってるな。」





虎於くんのスマホを見ると、沢山の有難い言葉で画面が溢れていた。





＿＿ŹOOĻの皆がこんなに愛らしくなるなんて…！



＿＿2次元版って解釈違い起こりやすいけどこれはちゃんと一人一人特徴捉えてて大満足！



＿＿大好きなグループが大好きな絵師さんとコラボしてんの私得すぎ〜！運営さんありがとう！





などなど、ŹOOĻのみならず私のことも書いてくれてる人がいて。





巳「よかったですね。」

『うん！』









……と、ここで終わらせないのが私である。





宇「…それではAさん、改めてご挨拶を。」

『はーい！』


「「「「？」」」」






高ぶる心臓を抑えながら、ŹOOĻの4人の前に立つ。

ピシッと背筋を伸ばして、今度こそ堂々と。





『本日から、ŹOOĻの専属絵師を努めさせていただきます、棗Aです！
不束者ですが、末永く(・・・)よろしくお願い致します！！』





＿＿＿＿＿そう、今日付けで、私の正式なツクモ入社が決まったのだ。





狗「…ええぇ！？！？」

虎「お前、バイトは…？」

『やめた！』


亥「巳波、知ってた！？」

巳「いや、一言も…」

『巳波に隠すの苦労したんだよ〜。』





察しがいいからね。





宇「仕事も生活も今までとあまり変わりませんが、以前話に出されていた新曲のMV作成にも、少しずつ関わっていただきたいなと思っています。
ŹOOĻの皆さんと同伴の仕事も、ぐっと増えるでしょう。」

『雑誌撮影にも着いていくよ〜！』





あくまで【趣味】だった絵を本気で仕事にするのは、かなりの勇気がいるものだった。

母のみならず私の絵を認めない人は出てくるだろうし、何かの拍子に巳波と双子のことがバレたらって、それで巳波に迷惑をかけたらどうしようって、不安もたくさんあるけれど。





『巳波、応援してくれる？』

巳「…応援も何も、私は生まれた時からあなたのファンですよ。」

『えへへ！』





巳波が応援してくれるなら、

巳波と一緒なら、頑張れる気がするんだ。







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