かくれんぼ ページ38
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昔1番好きだったけど、1番苦手だったゲーム。
かくれんぼ。
『みーつけた!』
「わぁ!」
見つかっちゃいけないというドキドキ、ワクワクした気持ちの中に、このまま永遠に見つけられなかったらどうしようっていう得体の知れない恐怖感があって。
私はどうにも、隠れる側が下手だった。
「すみません相手してもらっちゃって…ありがとうございました。」
『いえいえ、楽しかったので!』
「お姉ちゃんまたねー!」
『またね〜。』
暇だったから午後から散歩に出かけて、近所の公園で出会った子どもと一緒に遊んでいたら、いつの間にか日が傾いていた。
いきなり運動した体は既に数箇所で悲鳴をあげている。
明日絶対筋肉痛だなーなんて思いながら、私も帰路に着いた。
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『いっった…』
「なんで今日そんなカチコチなの。」
『近所の子ども相手にかくれんぼで本気になってたら全身筋肉痛になった。』
「クソしょうもないけどあんたのそういうとこ嫌いじゃないよ。」
『ありがと…』
優しいお姉ちゃんにクレープを奢ってやろう、と財布取り出しながらウインクをキメる友達に私もどデカい愛を伝えて、2人で大学を出た。
『これすんごい気になる…』
「絶対あんたそんな入らないよ。半分半分する?」
『いいの?神。』
苺とバナナのチョコカスタード(アイスクリーム2個添え)クレープを奢ってもらって、近くのベンチに腰掛ける。
付属のプラスチックスプーンでちびちび食べながら、最近出た新作漫画の話などに花を咲かせていた。
『ご馳走様でした。』
「いえいえ。もうこのまま帰る?」
『うん。……あ、そうだ…』
【今から帰るけど、何か買ってくるものあるー?】
ラビチャで巳波にそう送ると、画面を閉じる前に既読がつく。
が、しばらく経っても返信が来なかったので、いらないのかなと思いつつ友達とはそのまま別れた。
_____ピコンッ
『あ、』
その直後通知が鳴り響いて、電源を付ける。
「棗巳波」の表示に、何の疑いもなくラビチャを開いた。
【もう帰ってくるな】
『え_____、?』
【棗巳波 がメッセージの送信を取り消しました】
すぐさま取り消されたその言葉は、一体なんだったのか。
わからないけど、自分の体が震えていたことと、
間違いなく私が初めて巳波に恐怖を抱いたことは、確かだった。
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なつめみく - わあああ凄いです!ミナミチャァン大好きなんで助かります、!!にしても文かくの上手すぎてめちゃめちゃ読みいってた、!! (9月30日 22時) (レス) @page46 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます できればですがユキくんの妹の特権を書いて欲しいです お体に気をつけてくださいね (8月3日 1時) (レス) @page46 id: 8a945fb4c9 (このIDを非表示/違反報告)
koguma62(プロフ) - 完結おめでとうございます!巳波の続編読みたいです!最近熱中症で倒れる方多いので天野さんも体調に気を付けてくださいね(* ᴗ͈ˬᴗ͈)” (8月3日 0時) (レス) @page47 id: eb36b314f5 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 完結おめでとうございます!!毎日にやけながら読んでました。作者の部屋を見たのですが、陸くんの小説が見たすぎます...天野さんの物語の雰囲気というか語彙とかお話の進め方がすごく好みなので..とっっても書いて欲しいです...これからも応援してます!! (8月2日 19時) (レス) @page46 id: 8319d77ff3 (このIDを非表示/違反報告)
富田菫(プロフ) - 今回の話も最高でした!続編ぜひ見たいです(*^^*) (8月2日 8時) (レス) id: cd0b8d30c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天野いろは | 作成日時:2023年6月21日 13時