妹の特権【棗巳波】

拗ね拗ね、ゆめゆめ ページ32

・






『いらっしゃいませ……あっ。』





今日も今日とてバイトしていたら、巳波が来店してきた。

最近ŹOOĻの人達とすんごい鉢合わせるんだよなぁ。みんな実はこの近く住んでるとか？





巳「ラテのSサイズを1つ。」

『はいはーい。』






ここのコンビニをよく利用するようになった理由はわからないけど、この時間に来る巳波は大体同じものを頼んで同じことを聞いてくる。





巳「今日は何時までですか？」

『遅番だから0時まで。』

巳「分かりました、待っています。」

『イートイン開けとくね。』





ここ最近、巳波と一緒に帰る機会が本当に増えた。

ちょっと兄妹っぽいなーとか思ってるけど、実際兄妹で一緒に帰る人っているのかな。私たちの距離感は近いのか遠いのか未だにわからない。


まあ、私は嬉しいからいっか。









『お待たせ！着替えてくる。』

巳「ゆっくりでいいですよ。」





コーヒー1杯で45分粘った巳波に感心しつつも、なるはやで私服に着替える。

巳波のためだけに開けたイートインコーナーも片付けて、2人で裏口から外に出た。





『巳波が載ってる雑誌、明日発売だっけ？』

巳「……買うおつもりですか？」

『何その渋い顔。』

巳「いえ別に。」





なんか見ないで欲しい記事でもあるのかな…そんな踏み込んだこと言うタイプじゃないと思うんだけど。





『ていうかここのコンビニ近頃急にŹOOĻさんの利用率増えたんだけど巳波なんか言った？』

巳「あぁ、まあ…あなたが働いているとは言いました。」

『それじゃん絶対。』





面白いもの見たさで来てるんだろうな、友達が働いてるバイト先行きたい感覚。

大丈夫かな私、こんなこと言ってたら刺されそう。





『…あ！そだ、ナギくんに会う機会があったら渡して欲しいものがあるんだけど。』

巳「なんですか？」

『ここなちゃんの絵を描いたからプレゼントしようと思ってて！』


巳「…あなた、私には絵はくださらないんですね。」

『えっ…いや、巳波には仕事で描いたのあげたし……そもそも私の絵にそんな興味無いでしょ？ほぼBLか趣味全開のファンアートだよ？』

巳「趣味全開だろうがなんだろうがあなたの絵は好きです。前言ったはずなんですけど。」


『あれお世辞じゃないの！？』

巳「失礼ですね、もういいです。」

『えっちょ、待ってよ巳波、ごめんってばぁ…！』





悲報、巳波が拗ねた。

あっっれぇ、こんなことで拗ねる人じゃないんだけどな！？

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す