妹の特権【棗巳波】

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と意気込んで、一週間が経ち。





『ねえやばいよ悠くん。』

亥「なにが。」

『巳波が拒否ることを知らない。』

亥「お前それまだやってたの？？」





ありとあらゆるものを借りてみたが、巳波は全て二つ返事で了承した。

なるべく『よければなんだけど〜』って言い方したのに全部貸してくれた。





『化粧品とかさ、結構攻めたよ？なんも躊躇わないの。』

亥「結構攻めた化粧品って何。」

『アイライナー。』

亥「あぁ…」


『あとはね、香水も借りたし、アクセサリーも借りたし……服も普段借りてるしなぁ…』

亥「そもそもなんで普段巳波の服着てるの？」

『フランスって涼しいからさ〜、私半袖持ってないんだよね。』





日本の夏は暑いのなんの。まだ7月にもなってないのにちょっと外歩いたら汗だくだよ。





『とりあえず、うちの兄貴は太っ腹。』


亥「この前トウマがハンカチ忘れたーって嘆いてたらティッシュで頑張って拭いてくださいって箱ティッシュ投げてたぞ。」

『私の知らない巳波がいる。』





そんな嫌？人にハンカチ貸すのそんなに嫌？？





『やっぱり嫌々なのかしら。』

亥「どんな感じで貸してくれてたの？」

『水道の使い方ミスって顔面びしょ濡れになった私を何も言わずにハンカチで拭いてついでだからこのまま持ってろって。』

亥「本題より気になる話あるんだけど……」


『特に躊躇いとかは無かったけどなぁ。』

亥「お前限定なんじゃない？」

『そういう差別する人じゃない、と思う…』





謎は深まるばかり、と唸っていると、タイミング良く事務所のドアが開いた。

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