妹の特権【棗巳波】

共有品 ページ12

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巳「A、髪留め持ってます？」

『めずらし、忘れたの？』

巳「金具の部分が歪んでしまって。」

『ありゃあ、はいどうぞ。』

巳「ありがとうございます。」


『…あごめん代わりと言ったらなんだけど…』

巳「ヘアゴムですね、ありますよ。」

『有能〜！』





なんてやり取りを一部始終見ていた悠くんは、巳波が去っていった後にこんなことを言い出した。





亥「お前ら共有品多くない？」

『えっ？』

亥「よく物々交換してるから、どこまで許容なのかなって。」

『許容ー…？あんま考えたこと無かったな。』





少なくとも、巳波のタンスから引っ張り出した服に身を包んでいる今日この頃、洋服までOKなのはわかる。





亥「今までで1番借りるの躊躇ったもの何？」

『え、ほんとにそういうの無いよ…？スマホとかiPadもお互い貸し借りしてるし、』

亥「化粧品とかは？」

『あー…借りたことないな。今度やってみる。』

亥「いや別にやらなくていいけど…」





悠くんはこう言うが、確かに、言われてみればどこまで巳波がOKを出すのか気になるところもある。





『まずはリップかな。』

亥「なにがどうなって『まずは』なんだよ…それ許せたら大概大丈夫だろ。」

『あれでも待って、そう言えば巳波、この前乾燥でバッキリ割れた私の唇に保湿バーム塗ってくれたよね。』





あれは…多分巳波のだと思うけど。





亥「……そうじゃん。お前が永遠に気づかないからうたた寝してる間に巳波が塗ってたやつ。」

『起きたら唇ぷるつやでほんとびっくりしたよね。』


亥「……そこまでOKなら逆に何が無理なの？」

『わっっかんない…』





もしかしたら、パーソナルスペース狭めの私に無理矢理合わさせていることもあるのでは無いのだろうか。

そうだったら申し訳ないので、どこまで許容範囲なのかを今日から検証していこうと思う。





兄のプライベートゾーンを確かめるため、妹、動きます。

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