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『ただいま。』
父「おっ、おかえり。ご飯もうすぐだからな。」
『………うん。』
昨日あんなに強く当たったのに、父は普通だ。
父「今日、学校どうだった？」
『別に、普通。』
父「そうか。」
微笑む父。
『……なんで、嬉しそうなの。』
父「んー？」
『何もないんだよ。話しかけられるとか、新しい友達ができるとか。
それなのに、なんでそんな喜ぶの。』
父「嬉しそう…か。あまり自覚は無かったなぁ。」
意外だった。
父は母が亡くなってから、ずっと笑顔だったから。
てっきり無理をしているのかと思った。
父「普通でもいいんだよ。
そりゃあできるなら、新しい友達とか作ってほしいけどな。
帰ってきて、通常運転で『別に普通』って返されると、『ああ、今日も元気なんだな』って実感できるから。
俺はそれが嬉しいんだよ。」
そう、だったんだ。
じんわり目元が熱くなった。
『お風呂入ってくる。』
父「はいはい。」
隠すように踵を返す。
『………お父さん。』
父「なんだ？」
『………一人、友達ができたよ。』
父「………ん、えっ！？友達！？！？」
「ちょっとA待ちなさい！」と叫ぶ父を無視して、ドアの鍵を閉める。
『………っふ…、』
気づけば、口角が上がっていて。
めんどくさいとは、思わなかった。
「後でみっちり聞くからな！」
前言撤回。
今日はいつもよりめんどくさそうだ。
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作者名：天野いろは
| 作成日時：2018年6月19日 0時
