めんどくさい【オリジナル】 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:725 hit

・ページ21

「やっぱりAちゃん、めんどくさいよ。」

そっと私の頭を撫でながら言う◯◯さん。

本来ならやめてって言いたい所だけど、何故か拒否できなかった。

「めんどくさいめんどくさいって言う割に、それを楽しんでるんだもん。」

楽しんでる？

そんなはずない。わけわかんない。

「押し付けられた雑用をやったり、」

違う。それは断るのがめんどくさいから。

「雨の日に猫に雨宿りさせてあげたり、」

違う。それは後悔するのがめんどくさいから。

「私に話しかけてくれたり。」

違う。それは……

『…え？』

話しかけた？

「やっぱり覚えてないんだ。

私達、一度会ったことあるんだよ。」

『………何、言ってんの…？』

「中学は違ったけど、私が帰り道に同級生にいじめられてた時。

何も知らないAちゃんが、めんどくさいって言いながら助けてくれたじゃん。」

記憶が、無い、わけでもない。

でも、大して覚えてなかった。

「高校が同じだって知った時は嬉しかった。

だからってわけじゃないけど、知りたいなって思ったの。

これは他の誰でもない、Aちゃんの仕業なんだよ。」

にっこりと微笑みながら、そう言った。

それを、覚えてて、私に話しかけてたの？

あんな、10分にも満たない一瞬の出来事で？

『…どんなことに、記憶力使ってんの。

あんたもめんどくさいじゃん。』

「ふふっ、でしょ？」

でも、不覚にも。

めんどくさいものは、確かに輝いて見える。