蹴球女神 3 (ページ28)

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篤人との生活は順調で、今日は１日オフ。

私は久しぶりに晴ちゃんのお店に来ている

「晴ちゃーん」

「A！久しぶりだな」

「うん♪」

「いつものとこ空いてるぞ」

「ありがとう！」

いつもの席に座ると晴ちゃんがメニューを持ってくる

開いたメニューは変わってなくて、カルボナーラとサラダを頼んだ

注文を承けた晴ちゃんは分かったとだけ言って厨房へ消える

気晴らしに晴ちゃんと話もしたくてご飯時をずらして来たけど店内にはちらほらとお客さんがいて、皆が楽しそうに食事を楽しんでいた

ペンネを食べる老夫婦は常に笑顔で会話をしているし、一番遠い席にいる５人組の若い男性は多分ペペロンチーノを食べながらこの前のサッカーの試合の話をしていて

私はそれを聞きたくなくて顔と意識を他へ反らす

考えたくないのにどうしても考えてしまう

思い出したくもないのに何度もインタビューで聞かれてしまう

「ほい。カルボナーラとサラダお待たせ」

「あ…ありがとう！」

「で？何を思い詰めてんだ？」

私の前に座った晴ちゃんは背もたれに体を預けながらいきなり核心をつくように言う

そんなに分かりやすいのかな？
確かにその話をしようと思って来たけどそんないきなり言われるとは思っていなくて、私は晴ちゃんの顔を見たまま固まった

「なんつー顔してるんだよ…」

「あ、は…」

「この前の試合のやつか？」

「………」

「何が気になるんだよ。ゴールもアシストも出来なかったことか？」

「…ううん」

「じゃああれか。オウンゴールか？」

ビクッと体が反応するのが分かって誤魔化すようにカルボナーラに手を付ける

「まさか初めてオウンゴールしたのか？」

「う…」

「マジかよ」

攻守を間違えることなんてない。
ただ、私は背が高くはないし、女だからってコーナーやセットプレーではキッカーか離れた所で見守る事しかしてなかった

だからこの前の試合も自陣でのコーナーになったから離れて次の攻撃へと備えていた

でも急に呼ばれてセットプレーの中に入れられて、なんとかやらなきゃとは思ってやった

でも、いくら当たり負けしなくなったからと言っても所詮自分がボールを持って走っているときの話で、ジャンプや服や腕を掴まれるようなセットプレーでは敵わない