まあまあな彼女２【赤】

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Aちゃんは、
この局の仕事をやめることになった。



あのオッサンのことを上司の女の人に打ち明けたらおんなじような被害に合ぉたやつがゴロゴロ出てきたらしくて、
上にも話通してくれる人が出てきたりして、ちょっとの間現場の一部はすごい空気になっとった。



オッサンは現場に来やんくなった。

偉すぎて誰も触れへんけど、
出禁になったんやろな。



それやったらAちゃんがやめることないとは思ったけど、あんなん漏らしてしもたから結局上からの圧力で、自己都合退職っていいつつも実質クビみたいなもん。



収録が終わって、
日も落ちてきた外階段。
すっきりした顔で、
Aちゃんが話してくれた。



「次の職場、決まりました。昔お世話になった人の製作会社に行くことになりました」

「そぉか…」

「ありがとうございました。渋谷さんの助言のおかげです」

「いやいや、俺は何も」






あの時、
痛々しい口の端を見ながら俺は言うた。


「ここだけやないやんか。やりたいことできるとこ、他にもあるはずやで。信念さえ持っとったら、どこでも夢は叶えられるよ」




Aちゃんは、
めっちゃ頑張ったと思う。

逃げるようにそのまま辞めてもええとこを、ちゃんと現場の膿出して、あのオッサンにも出禁っていう痛い目見せてから辞めるんやから。


ほんっま、大した女やで。





「渋谷さん…また会えますよね？」



いつかまた仕事で、
みたいな言い方するん、なんでやねん。



「俺のこと…嫌いになってもーた？」

「えっ、なんでですか？そんな…」

「女に暴力振るうような男…」



ふるふるってAちゃんは横に首を振った。

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