まあまあな彼女２【赤】

６０ ページ14

戸惑ったまんま何秒か止まっとったけど、
横にめっちゃ首振られたから、
掴んどった腕を離した。


ほんまに何もせーへんで…
どんなイメージなん？俺って…
それともただ男の部屋に警戒しとるだけ？




「分かった。今日はもう送るわ」

「いや、いいですいいですっ」

「ヤスにも言われた思うけど、夜道にそんな泣き腫らした顔でおったら危ないやろ？」

「いえ、タクシーで…」

「行くで」



玄関に置いとった鍵を持って、
Aちゃんの腕を引っ張って歩いた。




「乗り？ええから」

「すみません…」




車に乗り込んだら、
Aちゃんは後部座席に座った。

助手席…空いとんのに。
分かるけどな…
分かるけど…

まぁ、もうええわそれで。


とりあえずこないだ一緒にタクシー乗った時の辺りまで車を走らした。





「なぁ、あのオッサンのことなんやけど」




ミラー越しに見たAちゃんの顔が強張った。



「何かされてんの？大丈夫なん？」

「あ、はいっ。大丈夫ですよ？」



嘘やん、なんでそんなテンションなん。
おかしいやん。笑うような話ちゃうし。
信号待ちで振り向いて見たら、ほらな。
泣きそうなっとんねんもん。




「無理すんなよ…」

「…大丈夫です」

「見てられへんねん、そんなん…」




おんなじ車内での、
この距離がめっちゃもどかしい。



「さっきも泣いとったんやろ？…ヤス言うてた」

「はい、ちょっと…怒られちゃって…。へへ…」




なんで笑うん？
アホなん？泣いとんのバレとんのに
なんでそんな無理するん？

６１→←５９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す