また会えたらって思ってた１【紫】

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「ヨコ、これ。Aの」

「え？いらん言うといてって言うたやん」

「置いて帰りよってんもん、しゃーないやん…」

「………。分かった」





俺の顔見て何か勘付いたんか、素直に受け取ったヨコ。
袋ん中覗いて、懐かし…って呟いて笑っとる。



せやけど、ほんま最近こいつ朝早いなぁ。
何なん。
まぁ今日はあれ渡せたからちょうど良かったけど…。






「ヒナ、Aちゃんと何かあったん」

「え？」

「別に興味はないけどさぁ…えっらい怖い顔しとんでお前」






あの後。A、電話も出てくれんかった。
結局一睡もできやんかったし…






「女心って、よー分からんもんなぁ…」

「は？何やねんそれ」

「片思いって、辛いなぁヒナ」






片思い…とちゃうかったんやって。

やのにうまいこといかんかったって
そんなんあるか？
ほんま自分が嫌なるわ。







「ヨコ、お前こないださぁ、誤解させたくないって」

「あぁ、うん。今あんまし他の女の子と連絡取りたないねん」

「え？」

「まぁ、…俺も頑張っとるってことや」





ふーん。
こいつもなんや難しい恋愛しとんのか？



横顔見とったら恥ずかしなったんか、ゲームしたまま俺と逆の壁に向き直しよった。





「ふふ、なんかきっしょ。ヒナとこんな話すんの」

「ほんまやで。もうやめてくれや聞きたないわ」






昔はよぉ恋愛話もしとったのにな。
もうこの歳やし、これ以上は聞かんけど。







「Aちゃんにありがとう言うといて。お守り、今度は俺が使うわ、って」

「おん…」






もうそんな会話もできる気せぇへんけど…
せやけど…



あいつも俺のこと好きなんやったら、
諦めるなんて選択肢ないやろ。





どないかしてもっかい会ぉて、
俺の気持ちも、ちゃんと伝えやな…。







絶対今度は、

離したないねん…

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