また会えたらって思ってた１【紫】

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結局思いついたのはカラオケで時間潰すこと。ソファやから寝ようと思ったら横になれるしな。




「ヨコくん、帰っていいよ？」

「気にせんでええよ。雨降ってるから多分明日現場仕事無いし」





歌う気にもならんくて、どうでもいい話をしながら間を埋めてたら、

Aちゃんはポツポツと話し始めた。




お父さんがいなくなってからお母さんと喧嘩してばっかりやとか、家で一人の時間が増えて寂しいとか、自分の弱いところの話をいっぱいしてくれて。

何にもうまくいかへん、って泣き出した。

多分それって、ヒナのことも含まれてんのやろな…。

せやけど、俺の前で泣いてくれたんは頼られてるみたいで嬉しかった。



ポケットに手ぇ突っ込んだら、今日手に入れた仙道があった。こんなん、ただのおもちゃやけど…。



「なぁ、Aちゃん、これ持ってたらすごいパワー出てくんねんで？なんせ俺があんだけかかってやっっっと手に入れたんやから。やから、お守り。はい。あげる」

「えっ、あんなにヨコくん苦労したのに。あかんよ」



頑なに拒否るAちゃん。
ちょっと頑固なとこはヒナに似てんねん。



「じゃあ、貸しといたるわ。元気出たら返してくれたらええから」

「…ありがとう」



さすがに根負けしたんか受け取ってくれた。



「ほんまに笑えるようになったら、返して？嘘はあかんで」




家庭の事情のことはヒナには言わんといてって、何回も言われた。
その約束は今も守ってるよ。






Aちゃんもそうやけど、おばちゃんも大変なんやろなぁって思たから、たまに休みの日にAちゃんの家に遊びに行ったりもした。

たまにAちゃんおらんのに夜ご飯よばれてて、帰ってきたAちゃんがびっくりしてたけど。




色々思い出しながら、酒を飲み干す。
控えめに一杯だけでやめといた。


明日も早よ起きやなあかんからな。
…晴れたらええんやけど。

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