また会えたらって思ってた１【紫】

４０ ページ40

＊＊＊＊＊＊＊





ヒナ、今頃Aちゃんと会ぉてんのかな。
Aちゃんのおばちゃん、
元気しとるんかな…。





あの時、俺がヒナにも、Aちゃんが大変なことになってるって教えたったら良かったんやろか。

でも、それはできへんかった。



Aちゃんと二人だけの秘密が、ちょっと嬉しかったし。

Aちゃんが俺に頼ってくれるんが、嬉しかったんや。







昔は俺が、邪魔したみたいなもんやからな…

Aちゃんとヒナ、
うまいこといったらええんやけどなぁ…。









ジャニーズの仕事もまだそんなあらへんかった時代。
現場仕事の休みの日に遊びでやってたバスケの試合に、ヒナがAちゃんを連れてきた。

すぐ分かった。
あ、ヒナこの子のこと好きなんやなぁって。




人見知りやった俺も何回か会ってるうちに喋れるようになって、

気づいたらヒナに頭叩かれて笑てるAちゃんを目で追うようになった。



Aちゃんにスラムダンク貸したったらハマってくれて、話も盛り上がるようになってって。キャラん中では仙道が好きやって言うて、俺も一緒やったから嬉しかった。




「ヨコくん、また来るね。ヨコくん仙道みたいやった！」

「そやろ？黒髪にしよかな」

「ファンの子がびっくりするからあかんよ。私の友達が、ジャニーズやったらヨコくんが一番かっこいいって！」

「俺わい！」

「しんちゃんはもうモテてるからいいやん！」






一緒に帰っていく二人を見て、いつ付き合うんやろって思ってたし、羨ましかったのに。



ある日、ヒナが彼女を作りよった。


なんで？て思たけど、聞かれへんかった。






「Aちゃん、またバスケすんねん。見に来てよ」

「うん行く行く！」




ヒナが来てくれやんくなっても頑張って誘ってみたら、ちゃんと来てくれて。
せやけどAちゃんは、よく会話に出てきた俺のファンって子とか友達を一回も連れてこやんかった。ちょっとテレビとか出てる俺に気ぃ遣ってくれて。





そんなとこも、好きやった。

４１→←３９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す