また会えたらって思ってた１【紫】

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収録とかはさすがに普通にこなしたけど、
ちょっとヨコと気まずなってもーたな…。



なんであんな必死になって追求してしもたんや俺は。

そんなん十年近くぶりに会ぉたヤツのことなんかどうも思わんに決まっとんのに。




俺かて別に…
今好きかって言われたらよー分からんし。
ただ、あんな愛想ない会い方してしもたから気持ち悪いだけで…。








帰りの新幹線は、亮と隣やった。
窓際にもたれて、寝ようか迷いながら景色をぼんやりと見てた。






「なぁ村上くん、そういえば実家行けたん？」

「いやぁ〜住んどったアパートなくなっとって、ちゃうマンション建っとったわ〜」

「え…そうなん？あかんかったんや…」

「なんで亮がそんな落ち込むん」

「だって、村上くんここ何年も仕事仕事でずっと気ぃ張ってるやんっ。こないだあの女の人来てくれた時、昔の村上くんが戻ったみたいやったから…」

「あははっなんやねんそれ。ただの幼なじみやで？」

「何かちゃうかってん！俺らだけでワイワイしてる時みたいな村上くんが見えてんっ。そんなん、女の人の前で出してんの見たことないもんっ」

「まぁ、ちっさい頃から付き合い長かったからなぁ。そら多少は…」

「ほんまにそれだけなん？」

「うん、それだけやで」





納得したんかしてへんのか分からんけど、それ以上亮は何も聞いてこやんかった。




そしたら、通路挟んで隣に座ってるちっさいおっさんが急に手ぇ伸ばして来て。







「ちょぉ亮、これ、そこのゴリラに渡して」

「誰がゴリラやねん」








そのメモには。



『待っとけ』




って書いてあった。







「何やねんこれ」


「待っとけ？何これすばるくん」






おっさんは、
完全にタヌキ寝入りかましとった。




おっさんの意図は分からん。

せやけど、多分これはAのことを言うとるんやろう。


すばる…何か知っとんのか？

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