91話 四男のお家事情16 ページ42
冬の晴天は空気が凜と冷たく澄んでいる。
ぬける様な青空が広がり、白い息が雲のように浮かぶ。
大野家に訪れた二ノ宮森高と高哉。
雅紀に迎えられた。
「……今、東京の弁護士さんもいらっしゃっています」
自分たちが雇った弁護士。
雅紀の表情が少し曇っていた。
「……今じゃない方がいいかも。ちょっとみんな興奮気味で」
「何かありましたか？」
高哉の問いに答えづらそうな雅紀。
「……揉めているというか」
昨夜、和也の言葉を思い出す。
『社長は人の道を外れたことがなくても、それを支える人間はそうでなかったかもしれませんね』
高森は弁護士との間に揉め事が起きているのだと理解する。
「話を聞かせてもらってもいいかな？」
「……はい」
リビング前、ドアの前に三人。
中の話に耳を傾ける。
苛立った和也の声。
そして弁護士の北口。
「御自分の立場を考え得ていかなければならないと思いますよ。あなたは二ノ宮家の血筋を引く身分な訳ですから」
「そんな身分はいりません」
「事実です。避けることは出来ませんよ。あなたが二ノ宮に入ればすべては丸く収まります」
「無理矢理ですか？」
和也の声が大きくなっていく。
携帯の着信音が聞こえて潤がリビングから出てくる。
森高親子を見て驚いていたが、雅紀の静かにのジェスチャーに小さく頷く。
携帯を耳に当てて潤が家の外に出ていった。
リビングでは和也を宥める智と翔の声。
「失礼ですが少々問題のある家族のようですね。……ご長男さんと五男さんはご両親の所在も全くわからないそうで……どこの馬の骨か」
森高の目がつりあがる。
高哉も聞きづらい言葉に俯く。
「次男さんの父親は犯罪者ですよね。そんな人間の息子に二ノ宮家が関わっているとなれば汚点と言っても」
「人の兄貴を侮辱するのも大概にしろよ！」
「全部事実を述べさせてもらっているだけですよ。三男さんは病院通いをしているとか？そんな状態でちゃんと成人として働けているのでしょうかね？あなた方は誰一人まともな人間がいない。その中に一哉さんを置いておくというのは問題がありますね」
「まともってなんだよ？人の粗を探すようなあんたも到底まともな人間と言えないよ。さー兄も潤ちゃんも親が判らないだけでちゃんとした人間だ。しょー兄の父さんは罪を償っている！まー兄は体が弱いだけだでちゃんと仕事もしている。なんにも知らない癖に人んちの事をとやかく言わないでもらいたいね」
攻防戦は続く。
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むつき(プロフ) - トコトコさん» 更新が中々出来ていないのに嬉しいコメントに涙が出そうです。ありがとうございます。 (2020年1月11日 22時) (
レス) id: b2ef71cdde (このIDを非表示/違反報告)
トコトコ - HOME大好きです何度も読み返して同じ所で感動して涙が出てきます。もうすぐ!終わってしまうのが淋しいです (2020年1月11日 15時) (レス) id: 1dd726fb60 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 雅さん» 読んで頂いて嬉しんです。ありがとうございます。 (2014年11月29日 19時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
雅 - お話おもしろかったです (2014年11月29日 19時) (レス) id: b8b9771043 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 和雅さん» コメントありがとうございます！名前が変わっていたのは意図ではありません。むつきの頭のネジが緩んでいるせいなのです。慌てて直しました。ありがとう。全く気が付かず、一人照れ笑いしてました。もし何か変なところがあったら教えてください！ (2013年3月19日 12時) (レス) id: badd9dfabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2013年1月25日 22時
