82話 四男の幼児期3 ページ33
食堂でシスターの手を焼かせているのは気難し屋の和也君1歳。
「百合さんはいないの？」
和也が唯一なついている百合を探す同僚たち。
ただ今百合は洗濯場にてお仕事中。
スプーンを口元に持っていっても顔を反らして口を開けない。
雅紀の姿を見つけて、机を叩いてアピール。
「呼んでるみたいだよ雅ちゃん」
「……」
「とりあえず食べちゃった方がいいと思うよ？」
智と翔の間に座っていた雅紀。
翔の言う通り目の前の皿を口に入れる。
「うううううううっふぇっ」
泣き出し始めた和也を仕方なく雅紀たちのテーブルに連れてくるシスター。
「ごめんね雅紀君」
チャイルドチェアーに乗った和也は上機嫌。
雅紀がスプーンを向ければ、大きな口を開けて食べる。
「おいしい？」
翔に話しかけられて凝視する和也。
ムクムクと動く翔の頬が気になるようで手を伸ばす。
顔を寄せて和也に頬をタッチさせる。
きゃっと笑い声を上げた。
「……」
「和、雅紀があーんだって」
和也の口にスプーンが向けられる。
ぱくっと食べてムクムクと動く自分の頬に触れて笑う。
「うまいな〜」
翔が和也の頬にタッチ。
ご機嫌で体を左右に揺らす和也。
「ご馳走様でした」
智は食べ終わった自分と雅紀のお膳をカウンターに下膳する。
まだ和也のご飯を食べさせている雅紀と翔。
「あらっ和也がいい子でいるわね」
洗濯場から帰って来た百合が優しい笑顔でその光景を見ていた。
「雅紀が気に入ったみたいだよ。カズ」
「そうみたいね」
じっと智が百合を見上げる。
「いいよ？」
「え？」
「カズの面倒もオイラたち見るよ。その方が雅ちゃんもいい事なんでしょ？」
言葉にしなくても百合の考えていたことを智も翔も伝わっていた。
甘える智たちと甘えさせる和也の存在が、傷ついた雅紀の心の癒しになる。
笑顔と言葉が早く雅紀に戻るように。
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むつき(プロフ) - トコトコさん» 更新が中々出来ていないのに嬉しいコメントに涙が出そうです。ありがとうございます。 (2020年1月11日 22時) (
レス) id: b2ef71cdde (このIDを非表示/違反報告)
トコトコ - HOME大好きです何度も読み返して同じ所で感動して涙が出てきます。もうすぐ!終わってしまうのが淋しいです (2020年1月11日 15時) (レス) id: 1dd726fb60 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 雅さん» 読んで頂いて嬉しんです。ありがとうございます。 (2014年11月29日 19時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
雅 - お話おもしろかったです (2014年11月29日 19時) (レス) id: b8b9771043 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 和雅さん» コメントありがとうございます！名前が変わっていたのは意図ではありません。むつきの頭のネジが緩んでいるせいなのです。慌てて直しました。ありがとう。全く気が付かず、一人照れ笑いしてました。もし何か変なところがあったら教えてください！ (2013年3月19日 12時) (レス) id: badd9dfabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2013年1月25日 22時
