78話 四男のお家事情7 ページ29
用事ができたと朝から出かけた雅紀。
町はずれにある観光客用のコンドミニアムにいた。
緊張した面立ちでソファーに座る。
向かい合わせに座る聡明そうな青年。
和也の血を分けた兄の高哉だ。
「こんな所までお呼びたてしてすみません高哉さん」
「いいえ……大切なことですから」
雅紀は和也の姿を自分たちの目で見てほしくて、この地に呼び出した。
兄弟たちにはこの事を話していない。
和也の姿だけではなく、兄弟の姿も見て欲しいと高哉の要望でもあった。
「社長はいらっしゃるんですか？」
「えぇ、こちらの方に支社があるのでそちらに顔を出してから……夜には到着するかと」
「そうですか」
雅紀はカバンからアルバムを取りしてテーブルに置く。
「和ちゃんのアルバムです。赤ん坊の頃から今までの成長記録」
「写真は全部君が？」
こちらの素性も調べ済みなのだろう。
雅紀が写真家であることを知っている口ぶり。
「僕が撮った写真は和ちゃんが中学生の頃からです」
「拝見させて頂きます」
雅紀は立ち上がると深く頭を下げる。
「……俺これで失礼します」
「雅紀さん！」
雅紀を止める。
「父に一哉を会わせることで余計に執着させるかもしれませんよ？」
「親です。そうでなきゃね。和ちゃんにはお父さんの愛情を感じて考えてもらいたいんですよ」
これまで貰えなかった愛情。
「もし二ノ宮家の人間になることを選択することになってもいいんですか？」
「和ちゃんが決めたことなら俺ら兄弟は喜んで背中を押しますよ」
建物を出た雅紀。
車に乗り込んだところで智から電話が入る。
『雅ちゃんお願いがあんだけどな』
「なに？」
「ちょっと出かけてて、今帰ってきたんだけど、駅まで迎えに来てくれねぇ?」
「いいよ。ちょうど町に来ていたから」
『わりぃな』
智を駅に迎えに行く。
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むつき(プロフ) - トコトコさん» 更新が中々出来ていないのに嬉しいコメントに涙が出そうです。ありがとうございます。 (2020年1月11日 22時) (
レス) id: b2ef71cdde (このIDを非表示/違反報告)
トコトコ - HOME大好きです何度も読み返して同じ所で感動して涙が出てきます。もうすぐ!終わってしまうのが淋しいです (2020年1月11日 15時) (レス) id: 1dd726fb60 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 雅さん» 読んで頂いて嬉しんです。ありがとうございます。 (2014年11月29日 19時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
雅 - お話おもしろかったです (2014年11月29日 19時) (レス) id: b8b9771043 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 和雅さん» コメントありがとうございます！名前が変わっていたのは意図ではありません。むつきの頭のネジが緩んでいるせいなのです。慌てて直しました。ありがとう。全く気が付かず、一人照れ笑いしてました。もし何か変なところがあったら教えてください！ (2013年3月19日 12時) (レス) id: badd9dfabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2013年1月25日 22時
